我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

太気拳には探手(たんしゅ)、という稽古がある。

さまざまな動きを自由に組み合わせて動く稽古であり、一人稽古の最後はこれで締める、という大切な稽古だ。いわば太気のシャドーボクシング

佐藤嘉道先生がそのご著書『拳聖 澤井健一先生』で述べておられる通り、最初はゆっくり動いて、段々と気分と動きを高めて行き、最後は発勁(はっけい)を含めた激しい動きも織込んで行く。

一定時間動き続けるのであるから、各種の技を自由に組み合わせて、連続して動けるように鍛錬を積んでいないと出来ない稽古である。ゆっくり動くのは、段々と心と体を噛み合わせて行くため。

心身が十分噛み合った状態になってから、段々と戦いのイメージに沿って動く。そして、その動きには規則性はあるものの、規則は無い。音楽や芝居では即興を、インプロビゼーションとかいうらしいが、探手はそのインプロなのである。

家内にも「探手を稽古せい!」と申し付けたところ、最近やり始めたとか。で、今日も夕方の一人稽古を探手で締めて帰ってきたら、「探手やっていたら、社宅の歌が浮かんできた」と家内。因みに、当社の社宅は年度末にて取り壊しとなる。

やってみい!と言ってみたら、リコーダーで演奏始めた。これが、かなり情感が伝わってくるいい出来の曲だ。思わず、9ヶ月しか住んでいない社宅に愛着が湧いてきた。 (のすけ。註:社宅のこども育成会のお別れ会用ソングを作ったのです♪)家内によれば、探手を稽古すると体内の即興性が高まり、曲がひらめいたりするのではないか、とのこと。とは言え、音楽の素養の無い人には無理であろうが。

小生、音楽は出来ないのだが、想い、が伝わる探手を舞えるようにしたい。