我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

対人練習について

前回申し上げた通り私の武道観は基本的に柔道を創始された嘉納治五郎先生のそれに準じていると考えている。

嘉納先生が講道館柔道(以下、柔道と記載)を創始された時の柔術諸流派は、技法的には指捕りや急所への打突や圧迫など、力のコントロール次第では致命傷になり得る技法を中心に稽古しており、必然的に稽古法は決められた単独の受け身や錬体法、基本動作の反復と、対人練習としては手順に従った形稽古であったと言われる。空手や拳法でいえば、練功・基本・約束組手まで(かなり大雑把な表現であるが、ご了承ください)という感じであろうか。

形稽古のみでは自由意志をもって攻撃してくる相手への対応力、いわゆる勝負勘の養成という面において十分とは言えないので、危険度が高い技法を封印することで鍛えた者同士であれば致命的なケガや故障を回避し、最低限の安全性を確保したうえで思い切って自由攻防が出来る乱取り法が導入された。乱取り法の導入により思い切った攻防を行えることで、勝負勘・闘志・反射神経の養成、さらには今で言うフィジカル面での強化も期待できた。ここには体育法の考えを織り込んだ嘉納師範の意志もあったことと、思料する。

自由攻防に組み込むとどうしても事故が避け難い技法は、従来の通り形稽古、ということであったとされる。技法を限定して自由にやり合うことで対人での変化を練り上げ、並行して死命を制する技法を稽古していた当時の講道館柔道は、体育法と勝負法を相補の関係で理想的な対人練習を行っていたのではないだろうか。

私が主宰する太氣拳尚武館においても、体育法と勝負法の二つの斬り口から対人稽古を行っている次第です(つづく)

 

  太氣拳尚武館は、太氣至誠拳法(通称・太氣拳)を学ぶ武術・武道の道場です。武道初心者はもちろんのこと、武術・武道・格闘技で伸び悩んでおられる中級者以上の方も歓迎いたします。また、護身・健身(健康づくり)目的の方の参加もお待ちしております。稽古会場:小山市栃木市宇都宮市上三川町。神戸市(支部)詳細は:http://taikiken-tochigi.jp/practice/

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太氣拳とは>

 中国拳法の流れを汲む武術。創始者澤井健一が立禅と命名した「ただ立つだけ」の独特の鍛練法を核とする。

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