我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

散り際


8月13日、友人の現役最年長プロボクサー嶋田雄大さんが東洋タイトルマッチに挑みました。

この日41歳の誕生日を迎えた嶋田選手、序盤から優位に試合を進めましたが、惜しくも八回2分59秒TKOにて敗れました。

絶妙の当て勘と位置取りで世界ランキング一位の荒川選手を翻弄しましたが、1R目から随分と飛ばすなぁ、と嫌な予感が。

案の定、途中から失速。一回り若い王者は「ここぞ」とばかりに体力勝負に出る。嶋田さんは真っ向勝負を演じて大「嶋田コール」のなか、壮絶に散りました。

古傷の右拳の怪我が再発しており、それゆえの玉砕戦法であったと、試合後のインタビュー記事で確認できました(個人的には存じ上げていました)。


嶋田選手は日本ボクシングコミッションの定める定年を越えておりましたが、世界王者もしくはタイトルマッチ経験者への特例により現役を続行されていました。

今回の試合結果にかんがみ規程により引退される可能性が大ですが、全てを出し切りホールを湧かせてくれました。

彼がアマチュア時代に所属したバトルホーク風間ジムで、私も拳闘を学びました。私が20代の一時期“左遷”されて所属した関係会社の近所にジムがあったので、短期間ではありますが稽古させて頂きました。

嶋田選手とは稽古時間が一緒になることが多く、お互い稽古中は黙ってやっていましたが、彼の丹念な稽古を見て「拳闘とは」を学ばせて頂きました。


・・・年月が流れ、今回はあえて言えば「男の散り際」というものを見せてもらった。


ひょんな縁からはじめたボクシングでしたが、おかげで男の中の男との縁が生じ、2度のタイトルマッチを含む6回の試合をリングサイドで応援することが出来ました。


お疲れ様でした。しばらくはゆっくり休んで下さい。また、メシでも食べに行きましょう!!

それから・・・嶋田選手に勝った荒川仁人選手も心技体が揃ったとても良いボクサーでした。

お二人とも、素晴らしいファイトをありがとう。


facebookより転載したものに加筆しました)