我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

理想の男

高名な駄文作家・某氏のクズ作品により娘が若年性認知症に罹患するのを阻止すべく、夫婦で破壊工作に着手した。

ただ取り上げるだけでは、次なる腐れ作家が取って替わるだけであるから、代替品を与えねばならない。

協議の結果、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』を貸し与えることにした。

作戦は成功。娘はもともと漫画でも『拳児』とか『六三四の剣』とか、“でっかく生きる系”の主人公が活躍する作品が好きらしい。

私自身、剣豪や維新の英傑を描いた作品が好きである。もっとも文芸品である以上、そこに作者の思い入れや解釈が入るのは避けられない。

坂本竜馬にしても、最近では色々と「作品と実像の誤差」を指摘する声が出ている。曰く「剣術は大して強くなかったらしい」「フリーメイソンだった」などなど。

その真偽については、知らない。大体、そんなこと知って何になるんだ。「竜馬の剣術はさぁ、クネクネ♪」って、うるせえっつうんだよな!

司馬センセの『竜馬がゆく』は理屈抜きに面白いし、男の行き方を考えさせられる教科書になると私は思っている。まぁ、当の司馬御大自身は喧嘩も弱そうだし英傑とは程遠いイメージだけどな。

そういえば、昔、竜馬ファンで有名な武田鉄矢さんが面白い話をされていたのを思い出す。

高校時代、恩師から「18までに男の理想像が見つけられないやつは、男としてダメだ」と言われ、必死になって理想像を捜して『竜馬がゆく』に出会ったと言う。

私は、と言えば、武道の世界において実在のシビレル男たちを随分と見聞きし過ぎてしまったので、理想像とは言っても一人には絞り切れて居ない。

恐ろしく強くって、優しくって、知性もユーモアも、愛嬌も、そして何より義侠心と行動力がある、そんな男たちに憧れて私は育った。

その一人ひとりが、私の男道の師匠。おかげさまで、とっても欲張りな理想像をこさえてしまったというわけ(しかも、この理想の男、どんどん成長するからたまらんですわ)。

でも、死ぬまでに自分で描いた理想の「もののふ」に一歩でも近づきたいね。

期限も決めよう。10年後、52歳までには、俺の理想の男像から見て、せめて50点くらいの出来にはなって居たいね。出来るかな??