我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

アリ・ザ・グレーテスト

昨日の記事でモハメッド・アリこそが史上最高のスポーツマンであると断言した。

何故か。

それは、アリが到達した拳技の高みもさることながら、やはりその人間力と存在感を以って、私は彼を最高のスポーツマンと言い切る。

戦績だけなら古くはロッキー・マルシアーノ、最近ではリカルド・ロペスフロイド・メイウェザーが無敗で引退した。

稼いだ金額で言えば、タイソンかな?副業合わせたらマイケル・ジョーダンか?

しかし、その知名度・話題性・ストーリー性の高さ、そして何より世間に対する影響力の凄さという点で、アリ以上の男が居たか?

アリのように、何世代にも亘って語り継がれえる男がどれだけ居る?

私自身年齢的に言ってアリの全盛時は、知らない。リアルタイムで見たのは猪木戦とラリー・ホームズ戦くらいだ。それでも、アリは私にとってグレーテストだ。

だって、あれほどの意志力と行動力、そして才能と名誉を勝ち得ながら、勝ち目の無いと思われる幾多の戦いから逃げずに戦い抜いた男、居ないじゃない。

アリに限っては、金持ち喧嘩せず、は当てはまらないな(笑)。

オリンピックの金メダルをハドソン川に投げ捨ててプロの王座奪取を心に誓い、後に奪取したチャンピオンベルトさえ、自分の生き様を貫くためには手放した(ベトナム戦争時の徴兵拒否)。

タイトルを剥奪され3年と7ヶ月の間リングに上がれず、復帰後挑戦したタイトルマッチではフレイジャーに敗れてしまう。

そのフレージャーを軽く倒したフォアマンに挑み、再び戴冠したのがあの“キンシャサの奇跡”。

ちなみにこの世紀の一戦、試合は8Rで終わったのだが、直後は、大雨が降り出し、とても15Rまでは開催できなかったという。

天も哭いたのだな。シビレル話じゃないか?

「偶然だよ」とか冷めたこと抜かすヤツぁチョーパンな?

自分が歩む道において、はるか先に位置して足跡を遺し道を教えてくれる者、絶対的な規矩となってくれる人物を師匠と言う。

近くに居ようが遠くに居ようが、それこそ生きている時代が違おうが、そんなことはどうでも良い。その人に惚れ込み、その人から学ぼうと頭を垂れた時点で、その人は自身の師匠となる。

その意味で、アリもまた私の男道において師匠と言うべき人物だ。

その至高の魂に一歩でも近づきたいものである