我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

勇気をありがとう

今回の投稿はFacebookへの投稿を加筆したものです。


4月22日に行われた嶋田雄大さんの引退興行&引退式、素晴らしいものでした。

私は、武術を追究するためにボクシングの稽古をして、そこで若き日の嶋田さんに出会ったのですが、当時から本当に真剣な練習をする人でした。当時はアマチュアの選手で、新聞配達をしながら夜にジムに通っていました。

ジムが閉鎖になり私も仕事の関係でボクシングから足が遠のいて久しかったのですが、まだ嶋田さんが戦っていることを知り米倉ジムを訪ねた。その時は不在でしたが、トレーナーさんから連絡先をうかがって再会と相成った次第です。


世界タイトルへの初挑戦は、2008年6月。37歳になる直前怪物王者エドウィン・バレロに挑み惜敗。

タイトルマッチが決まった時、電話を頂いたのですが、その電話からも嶋田さんの魂の昂ぶりが伝わってきました。昂ぶって当たり前です。プロボクサーならば、誰もが憧れる夢の舞台に立つのだから。そして、それは世界一強い男と殴り合うことを意味するのだから。

嶋田さんがプロボクサーを目指したのは、15歳のころ観たマイク・タイソンのタイトルマッチに衝撃を受けたのがきっかけだそうです。しかしながら、プロボクシングの世界戦は、まず、試合を組むこと自体が容易ではない。まして嶋田さんの本来の階級(ライト級)は激戦区。


30歳で就いた日本チャンピオンの座を五度防衛して、返上した後、何度も世界前哨戦を繰り返しました。同期は次々とグローブを壁に吊るし、普通の生活に戻って行く。過酷な戦いに耐えるための過酷な鍛練。減量。若い力の台頭。

普通ならば、絶対にモチベーションは保たないでしょう。

勝敗は時の運だが、せめて一度で良いから世界戦を実現して欲しい!私も心から祈りました。私と嶋田さんは3つ違い。我々の年齢になれば多くの人間は自分の夢をあきらめ、世間と妥協する道を選ぶ。そんな中で、いつ組まれるとも知れない世界タイトルマッチを目指して黙々と自分の心技体を研ぎ澄ます同世代の男がいる。それだけで・・・胸が熱くなるだろ!

そうして迎えた世界タイトルマッチ。私は、プロジェクト絡みのアメリカ出張を他のメンバーに代わって貰って、日本武道館に向かいました(サラリーマン失格ですね!)。


花道を歩む嶋田さんを見たら、それだけで涙が溢れてしまいました。

結果は七回TKOにて惜敗しましたが、世界一の舞台に立つことが出来たのだから、私は嶋田さんの夢はかなったと思います。

たしかに結果は大事ですが、大舞台に立てたなら、主役を演じたと言うこと。世界一の男だって、対戦相手が居てこそですから。世界一と戦った時点で、勝負の結果はともかくとして世界一の男なんです。

こんな凄い男と私は知り合い、時間をわずかながらでも共有出来たことを誇りに思います。

人生の岐路に立ったとき、困難に直面したとき、心が折れそうになったとき…嶋田さんの勇気・不動心を思い出して、男気MAXで私も歩む所存です。

嶋田雄大さん、長い間お疲れ様でした。勇気を、ありがとう!


太気拳至誠塾栃木支部は、太気至誠拳法太気拳)を学ぶ武術・武道の道場です。武道初心者はもちろんのこと、武術・武道・格闘技で伸び悩んでおられる中級者以上の方も歓迎いたします。また、護身・健身(健康づくり)目的の方の参加もお待ちしております。稽古会場:小山市栃木市宇都宮市上三川町詳細は:http://taikiken-tochigi.jp/practice/
太気拳講習・合宿・DVD教材のお申込みはコチラ(カート機能):http://taikishimamura.cart.fc2.com/


太気拳とは>
 中国拳法の流れを汲む武術。創始者澤井健一が立禅と命名した「ただ立つだけ」の独特の鍛練法を核とする。

太気拳とは(詳細版):http://taikiken-tochigi.jp/taikiken/

☆お問合せはこちらhttp://my.formman.com/form/pc/AntTny9AIWHChfRQ/