日本刀のように
先月、高木先生よりうかがった澤井先生のエピソードから、前々から思っていたこと(ここでも多分書いている)に益々確信を抱くようになった。
それは澤井先生の拳の技法の核心部分に剣術がある、ということ。もちろん剣道もあるだろうけれど、たぶん剣術。
どんな話かというと、紅槍会の槍との戦い。澤井先生は良く知られるとおり、中国で白兵戦を経験されており、槍の遣い手を何度も斬っている。
人が人を斬る、ということは悲しいことであるが、その是非はともかく。
槍・薙刀と剣が戦えば、七三で五分の技量といわれる。10本勝負して剣が3本とれば、という意味。
紅槍会の下段から上への攻撃を捌いた澤井先生の動きがどんなものだったか、私は勝手に仮説を立てている。
体の伸縮から導き出される上下の力と、刀身・鍔を使用した「受けない受け」や「切り落とし」。これらがあって、初めて剣は槍・薙刀と戦えるだろう。
盾と矛の発想では、剣で以って同じレベルの槍の遣い手の前には立つことは無理であると、薙刀と手合わせしたという方に話を伺ったことがある。
石突と刃部を使用した立体戦法で、何がなんだか分からぬままにやられた、とその方はおっしゃっていた。
受けたら、負けるとも。
そりゃそうだ。武器の長さや重さが違うんだから、受けたら居付いて終わり。受けず、しかし斬られずに、相手を斬る。そこに日本刀が勝つ理がある。
私もそういう組手を目指したい。盾と矛ではなく、刀身による攻防一体の体現。そんな組手が可能になる心技体を、練り上げてゆく