我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

味だけのご愛顧

ほ〜んのごく稀に行く珈琲屋さんがあります。今日、6年ぶりくらいに行って来ました。美味しさということだけを取りあげれば、珈琲に対しておそらくこれほど真摯に取り組んでいるお店は無いかも知れない。

だけれども、珈琲大好きな私ですが、ここに寄るのは何年かに一度でした。行動半径内にあるので、これから頻度は増えるかも知れませんが。

理由は・・・。そうですね、あまり寛ぐことが出来ないからです。わたしはいわゆるカフェが大好きで、珈琲とともにお店の雰囲気やら店主との会話やら、読書やら、知人との会話やら楽しんだりしたいのです。

一昨年、アラブ文化圏のA国に滞在した際も、休みとなれば朝稽古をたっぷり行った後、カフェに行って一杯20円のカッファ(珈琲)を飲みながら読書にふけり、あきたら散歩して疲れたらカフェ、という感じで一日数回カフェに寄っていました。

今日行ったお店は、私にとっては珈琲と真剣勝負しに行く場所。上述のようなカフェの在り方とはほど遠い空間です。お店で手渡されたメニューにはこう書いてありました。


 珈琲の 味だけの ご愛顧を お願い申し上げます
                      店主敬白


決して態度が悪いわけではありませんが、珈琲の味だけを追求されているので、カフェのような愉しみ方は許してくれません。ここまで言うと、首都圏の珈琲通の方には店名が分かってしまうかも知れませんね。

オーナーさんの潔い頑固さに脱帽ではあります。寛げないお店ですが、清々しいものは感じます。自分を研ぎ澄ましたい時には、寄ってみます。もっとも、普段は寛ぐためのカフェでゆったりした時間を過ごすけれどね♪

私の稽古場は、カフェよりは厳しいけれど、じゃあ、今日の珈琲店と比べるっつうと、少々ゆるいよな。ま、そんな頃合いくらいで丁度良いんじゃないでしょうか。

俺んちは、味だけのお付き合いではなくって、お味も雰囲気も大事にして、贅沢な時間を過ごしてもらいたいと思っています。