我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

心のタコメーター

大空と大地の中で


朝稽古の最中に、携帯が鳴りました。私の武友の一人である、太気拳至誠塾富山支部長の小島氏からでした。

彼は曹洞宗のお坊さんです。これがなかなかの生○坊主ぶりで、彼の話は、聞いている分には爆笑ものなのですが、職業柄ここまでやって大丈夫かいな?と心配になることもしばしば。

でもまぁ、若いうちはそんなものです。私も悟りきった顔をする年齢では無いし、言うなれば“同じ穴の狢”ですから。そんなわけで、私と彼が会話を始めると「ピー!!(放送禁止)」の連続であります。

二人の会話が進むにつれ、エネルギーが同じ方向を向き始めます。酒が彼の熱き魂の起爆剤になるのでしょう。私はウーロン茶を飲みながら、なぜか心のタコメーターが急上昇します。

昨年は午前一時を過ぎた時点でこんな感じでした。

「関節極めたら、ピー!!」「顔面にチョーパン入れたら、ピー!!」「そもそも太気なめているヤロウは、ピー!!」
「近所のピー!!!がピー!!!なんでピー!!したんですけれど、ピー!!!!ピー!!!!ピー!!!!」

翌日は澤井先生のお墓参りだったのですが、天国の澤井先生、どんな顔をされていたのでしょうか??きっと傍に居られたら、

「キミタチ、わしなんかピー!!のピー!!!をピー!!!したら、ピー!!!が出て来ちゃったから、ピー!!!にピー!!!させてピー!!!!だったんだよぉ。君たち、町人だなぁ」


・・・という感じで小僧扱いされているに違いないでしょうね。

そう言えば、3年前の合宿に佐藤嘉道先生がみえた際もかなり「ピー!!!」なお話しが出て来ましたね。横で娘が聴いていたのですが、楽しそうだったな。

ウチの親父の青年時代の「ピー!!!」な話も面白いものでした。親父よりやや若い佐藤先生の青年期までは、シンプルな豪快さが認められ、エネルギーあふれる若者が存分に力を発揮できた時代だったのでしょう。うらやましい限りです。

私の学生時代は良き仲間に囲まれ幸せなモノでしたが、時に、周囲の“品の良さ”ゆえ居場所が無くなるような感覚を覚えることも、ままありました。稽古で発散していたものの、それでもエネルギーの行き場がない閉塞感とでも言うのでしょうか・・・。

現代社会は、不便さはどんどん排除され、あらゆる枠組みが出来あがっていて、はみ出すことが難しい。日本に限れば飢えも戦(いくさ)も強制労働もない平和な社会ですが、生きているという実感を感じるのが難しい面もあるかも知れません。

思えば私の20歳代は、エネルギーの捌け口を求めた葛藤の日々でした。

勝手に決め付けてしまえば、わが武友も同じような葛藤を経て生きて来たのだろうと思っています。おそらく誤解されやすいタイプなのでしょう。

俺と同じで、時に身も蓋もない発言しちゃうからなぁ。

でも、私が知っている一流武道家は多かれ少なかれ「ピー!!!」なエピソードがある方達でしたね。晩年、春風駘蕩の境地に至った方たちほど、若い時期は「ピー!!!」だったみたいですな。私の触れた範囲での例外は、私が日本伝統武術を習ったあのお方だけです。

綺羅星のごとき大先達に比べれば、私たちなんて“優等生”ですよ。まぁ、また機会があれば稽古して美味いものでも食いに行きましょう!!

「ピー!!」な話も、もちろん大歓迎です!


・・・念のためですが、放送禁止ネタはあくまで番外編であります。通常は至って普通の雰囲気のなかで、真面目に(?)稽古に励んでおりますので、誤解無きようお願いします。


註1)今日の一枚は、昨年3カ月滞在した北アフリカ某国でローマ遺跡を訪問した際のものです。ここでのお話はいずれまた!