我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

忙しい時こそ稽古!

太気拳至誠塾のHPで新連載を開始された大阪支部のの武田さんが、多忙な状況の中で稽古を継続してゆくことについて、人間の仕組みに立脚した太気拳の真髄を踏まえて述べておられる。社会人で武道を稽古される方には、ご一読をお勧めする。

かく言う私も企業人の端くれである。最近こそ残業規制で定時上がりではあるが、仕事の納期はあるわけで、それなりに自宅に仕事を持ち帰ることがあったりして、学生さんのように自由に時間を使う訳にはいかない。

忙しくて武道の稽古なんて・・・とおっしゃる向きもあろうが、私は忙しい方こそ稽古をやるべきであると思っている。忙しければ、否でも応でも効率的に稽古せざるを得ない。

何とか時間を捻り出して、稽古をしなければ太気拳と言えども身にはつかない。『はじめの一歩』というボクシング漫画で「四六時中ボクサーであることを自覚しろ(だったと思う)」というセリフがあったが、私もボクサーを武術家、拳法家と読み替えて肝に銘じている。

それは常に武張っているということではない。心の持ちようである。当たり前のど真ん中ではあるが、仕事中は仕事に、職場の飲み会は飲み会に、カラオケに行ったらカラオケに・・・没頭している。その時々に取り組んでいることに没頭することが、稽古に集中する心身を練り上げる土台である。

仕事は適当こいて稽古時だけ集中する、というのはエネルギーの無駄遣いである。朝起きて活動が始まったら、寝るまでは魂を入れて活動するべきである。大体日中だれた気分で生きている奴が、稽古が始まったからと言って心身を切り替えられるものでは無い。

難しいことではない。仕事が終って稽古をする際に、それまで仕事に向けていた集中力を途切らせないで、エネルギーの方向性を変えるだけだ。稽古場や道場に向かう道中に、エネルギーを維持しつつモードを切り替えるのだ。そして目一杯稽古をする。

私は朝稽古をして心身を整えて職場に向かう。職場では過不足無く集中して働いて、気持ちよく退社したら犬の散歩・稽古・読書・・・とエネルギーを途切らせずに活動を続け、心地良い疲れを覚えたら就寝する。

そもそも事務職のサラリーマンであれば仕事を終えてそのまま一杯やって寝る、というのは不健康極まりない話である。翌日の目覚めも悪かろう。もちろん、仕事が肉体労働であればやや話は異なるであろうが。

疲れていようがなんだろうが、意地でも一日一度は稽古をやる習慣をつけることだ。心身をバランスよく疲れさせて眠ることが、真の体力養成法である。