我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

人生に活きる武道

「仕事でも太気拳の稽古が活きているんですよ。勢いだけでごり押しする輩は、こちらが姿勢・呼吸・精神を整えて臨めば自滅してくれます」

久しぶりに稽古に参加されたメンバーと、帰り際に少し立ち話しをしていたのですが、その延長で一緒に昼食を頂きました。

彼は20名ほどの社員さんが居る会社を経営されています。色々と興味深い話を伺いましたが、面白かったのは取引先の大手企業との交渉の話し。

大手によくある、話し合いの名を借りた「ごり押し」。担当マネージャにとの話し合いの席で、日頃の学びを活かそう、と着席した姿勢で「立禅」の状態、すなわち「調身・調息・調心」に入ったそうです。その状態で落ち着いて対応したところ、相手は勝手に「気」が上がってしまい矛を収めてしまった由。

こういうごり押しは日常茶飯事だそうで、こういう時こそ「気と重心を上げない」ことが大事だと気付き、周りの方にも心身を整えて向き合う事の大事さを説くそうです。ただ、この手の話を周囲にしても「精神論」と受け取られてしまう事が多い、と嘆いていましたが、言うまでもなくこれは具体的な「技術」です。
私は武道とは「武術の技法の修練を通した実践行動学」であると考えていますので、格闘技法の修練も大事ですが、その修練を通じて質の高い人生を生きるための心身の軸をつくることがより重要だと思います。

戦う、というストレスの高い状況下で自己を制御することを学ぶ。それもアタマではなく身体を通した学び。戦いとは、自分とは別人格である他者とのやり取りですから「聞いた事がある」「知って居る」というレベルでは通用しない。
武においては「体得」が全てです。

相手の「意」を感じた瞬間に心身が適切な行動を選択してくれなければ、打たれ・蹴られ・組み伏せられる。もちろん、普段の稽古では安全に留意し、倒すまで追い込むことはしませんが、バーチャルではない生きた相手との攻防を通じて、相手の人格と真っ向から向き合う。

稽古相手は自分の向上に付き合って下さる、大事な仲間です。相互の信頼に基づいて思いやりを持って真剣に稽古する。人生に活きる稽古を提供できる道場でありたい、と考えています。


太気拳至誠塾栃木支部は、太気至誠拳法太気拳)を学ぶ武術・武道の道場です。武道初心者はもちろんのこと、武術・武道・格闘技で伸び悩んでおられる中級者以上の方も歓迎いたします。また、護身・健身(健康づくり)目的の方の参加もお待ちしております。稽古会場:小山市栃木市宇都宮市上三川町詳細は:http://taikiken-tochigi.jp/practice/
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太気拳とは>
 中国拳法の流れを汲む武術。創始者澤井健一が立禅と命名した「ただ立つだけ」の独特の鍛練法を核とする。

太気拳とは(詳細版):http://taikiken-tochigi.jp/taikiken/

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