我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

北欧のサムライ

マーシャル・高木両先生と


3月28日(土)は、北欧スウェーデンにて太気拳の指導をされているマーシャル・マクドナー先生が、至誠塾本部道場にお越しになりました。65歳とのことですが、2004年の夏に来日された頃とまったく変わらない若々しい姿に驚きました。

少年部の空手クラスの後半部分で号令を取って下さった後、少年たちによるピンアンの型の演武をご覧いただきました。

その後、7時15分頃から成年部にてマーシャル先生による太気拳セミナー。古くからのお弟子さんであるオケ先生を相手に、立禅・揺・這・練の動きと、そこに含まれる拳法のエッセンスをご披露いただきました。

65歳という年齢と100キロの巨体を感じさせない軽やかな動きに、数十名の塾生一同、感嘆のため息。

柔らかな強さ、自然な動き、気の循環・・・といったことを強調され、一時間半ほどで充実の特別稽古が終了。掃除の後、道場にて懇親会を行いました。

マーシャル先生と直接お話しする機会に恵まれましたので、指導者としての心構えや生徒との付き合い方について伺いました。小山で教えているM君もその場にいたので呼び寄せ、二人で先生の言葉に耳を傾けました。

「まず大事なことは正直であること、そして相互に敬意を払いあう関係であることだ。弟子に尊敬される指導者でなければならないが、そこに無理な強制があってはならない。心から尊敬を得るためには、弟子以上によく学びよく鍛えること。道場の中だけでは無く、稽古を離れても自分を律することだ。いくら武道が強くても、過剰な飲酒や喫煙を行いだらしない生き方をする者は弟子の尊敬を勝ち得ない・・・」

私(=マーシャル先生)の言うことが理解できるか、と問う先生。「イエス」と答える私に、「君なら出来ると信じているよ」との温かいお言葉。

平和な時代に「武」を学ぶ我々は、ともするとゲームのプレイヤー的な感覚で武道に接しているのではないでしょうか。

武道母国である日本でも武道家を好戦的な人種と捉える風潮があり、やたらと「実戦」を口にする武道指導者がいるようですが、マーシャル先生のスタンスはそれらの人々とは一線を画したもののように感じました。

マーシャル先生の凛とした佇まいは一言で言うと、サムライのようでもありました。

武力を持った者は己を律する心を人一倍持つべきでしょう。刀を持つ者にはサムライの心が無くてはならない。そう語っておられるようでした。

帰りの電車のことがありましたので、早めに失礼しましたが、大変有難い時間を過ごさせていただいたことに、感謝感激であります。

マーシャル先生、高木先生、素晴らしい時間をありがとうございました!!


註)今日の1枚。帰る前にマーシャル先生・高木先生・オケ先生・M君・私の5人で記念撮影させていただきました(畏れ多くも私が真ん中であります)。