我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

武道の未来

「武道を救うのは外国の弟子かも知れないなぁ・・・」

シュナイダー先生が神道夢想流杖術の清水隆次先生に教えを受けたとき、ぽつりとつぶやかれたそうだ。清水先生は1978年にお隠れになっていますから、40年ほど前のお言葉ですね。

さきほど、アラン先生・シュナイダー先生のお二人を小山駅にお送りし、お見送りして来ました。

アラン先生は私が生まれる頃から、シュナイダー先生はその前から武道を稽古されている大先輩です。お二人とも空手道の稽古のために何度も来日されていますが、滞在中はほとんどの時間を稽古に充てていらしたそうです。

武道の稽古も表芸の空手だけではなく、剣術や杖道、棒術など、数種類の武芸をかなり深く学ばれた由。お二人が師事された武道家には、直心影流の大森曹玄先生(『剣と禅』の著者)、杖術の清水隆次先生など、20世紀のレジェンドたちが綺羅星のごとく名を連ねています。

日本の修行者は多くの場合、稽古するのは一つの科目、すなわち剣道なり柔道なり合気道なり・・・だけ。それも、高校なり大学なりを卒業したら、稽古も卒業。口癖は「昔は強かった」というアレです(笑)。

競技で成績を残せなくなったら引退。引退して武の道に分け入るのではなく、空手なり剣道なりから身を引いてしまう。寂しいものです。

悪いけれど!指導者が「武の道」とか、剣の道、柔の道なんてまともに伝えていないで、武道の名のもとに「脳みそ筋肉野郎」を量産したからこその、体たらくというものですね!

欧州でもスポーツ化の波が武道を飲み込もうとしている傾向があるようですが、まだまだ「武の道」に対するリスペクトがあり、行政のサポートも存在する由。

冒頭の清水先生の予言というか憂慮というかは・・・残念ながら見事に的中している感があります。

ですが、嘆いてばかりでは何も起こりません。幸いにして欧州ではまだ日本の武道に対する憧れや尊敬の念が根強く残っております。こうなったら逆輸入でも良いから、日本人に「武の道」に目覚めてもらう活動をせねば、と本気で考えている。

海外の武道熱をさらに焚き付けてだな、海外へいった日本人は「お前武道のひとつも出来るのか?」と挨拶代わりに聞かれる。武道出来ない、なんて答えようものなら冷遇されて商談一つできないよ、と。それくらいにね。
もちろん、正攻法で地道に地域に根差していく活動がメインですが、打つ手を色々と考えて行かないと、武道そのものの未来が危ないと、本気で考えていますよ。

海を越えて、莫大に時間と金をかけて学びに来る人たちが居るんです!日本の武道にはそれだけの価値がある。私たち日本人は、ちょっとしたお金と時間をかけて通えば学べるんですよ。サッカーも良いけどね、もっと自国の文化の素晴らしさを見直して頂きたいものです。



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 中国拳法の流れを汲む武術。創始者澤井健一が立禅と命名した「ただ立つだけ」の独特の鍛練法を核とする。

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