我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

美意識ともてなし

我が家では、時々遠出して飲食を楽しみます。先日はつくば市まで珈琲を飲みに行ってきました。目指すは筑波山のふもとにあるカフェ・ポステンさん。

日経にお店の紹介が出ていたのを読み、行きたくなりました。ちなみにつくば市および周辺には、素敵な喫茶店が結構あります。

栃木県からつくば市までというと遠いイメージがありますが、我々が住む小山市茨城県との県境にありますので、思ったほどはかかりません。まして、私の自宅は小山市でもかなり茨城寄りにあります。

関東平野の田園地帯を走るのは私の楽しみのひとつ。何と言うか、都会の道に比べてすごく開放感があるのです。

一時間ちょっとで到着。昔は郵便局であったという古民家を居抜いたお店は、雰囲気が出ておりすごく素敵です。

アールグレイ(家内)とブラジル・サントス(私)、そしてお茶うけにスウェーデン風キャロットケーキを注文。

床もテーブルもピカピカ。食器も味のある陶磁器を使用されており、オーナーの美意識が貫徹されています。もちろん、お味の方も文句無し!

全体の評価をすると、95点!足りなかった5点は何かというと…、それは「音」です。オーナーさんの足音が若干気になりました。おそらく静謐を湛えた空間だけに一層それを感じたのかも知れません。

珈琲好きの私は、行動圏内にいくつかお気に入りの喫茶店があります。地元の音楽館もそのひとつですが、ここのオーナーさんはとても静かで優雅な立ち居振る舞いをされます。

別に「料理の鉄人」みたいに比較させて楽しむ傲慢な趣味はありませんので、どこの喫茶店が最高峰である、なんてことは申しません。また、「寛ぐ(くつろぐ)ことが出来る」ということが喫茶店の大きな要素ですから、多少の「穴」はあって良いのです。

それなのに、何故足音のことを言うのかというと、あれだけ貫徹された美意識の中で唯一調和を乱すのがあの足音だからです。

勝手な想像ですが、ポステンのオーナーさんは、腰があまり良くない(もしくは強くない)のかも知れません。良くないのなら治療を、そして腰のバネが足りないのなら太気拳をお勧めします。

閑話休題

十年ほど前、さるお店で凄く美味しいこだわりの珈琲を頂いたことがあります。珈琲自体は最高に美味しいのですが、そこは会話はダメ、読書はダメ、珈琲は30分以内に飲め…と色々制約がありました。

これではくつろげません。そんなわけで残念ながら、以降、お伺いしていません。オーナーさん一人が「美意識」や「珈琲道」を追求していても、そこに「もてなし」の心が入っていないのでは良い「気の交流」が生まれないからです。

私が多少高いお金を払っても色々な喫茶店で珈琲を楽しむ目的は、そこにあります。

足音のことを言いましたが、最初にお伝えした通り、ポステンさんはすごくいいお店であることは間違いありません。もてなしの心が満ちた、贅沢な空間であります。

またお伺いしようと思います。