我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

算術より…

“赤煉瓦”にて


トヨタ式「カイゼン」の手法の一つに「算術よりも忍術で考えろ」というのがあるそうだ。1+1=2、というのが算術。生産なら工数(マンアワー)という概念で大体の仕事の進捗が読める。

これは過去のデータに基づいた当たり前の発想であり、確かに間違いはないのだろうが、一歩抜きん出た成果を得られるものではない。

スポーツでパワー・スピード・テクニック・タクティクス…などといった要素に分けて個人やチームの実力を解析してゆくのは算術だ。

格闘技も基本的にはこの考え方に基づく。それゆえに、公正公平を期すためにウェートなどで階級制が敷かれ、その範疇で覇を競う。理に適っている。

しかし、武術は相手が如何に数値で上回ろうと、事に臨んで身を全うするのがその本分。その為には、発想を変えねばならない。

算術的には負けている、ということを無視して根性で何とかする訳ではない。そこを認識しつつ、それでもやられないというのが武術でなくてはならない。

冒頭のトヨタ式にヒントらしきモノをめっけました。「マンアワー(工数)は計算できても○○○○○は計算できない」ってやつ。これを武術に敷衍して考えれば、何となく分かるかもしれません。

分かったところで別に太気拳が完成するわけでも、武術が極められるわけでもないですが、分からないと永久に“算術”の奴隷でしょう。

私自身、当たり前ですがまだまだ道の途中です。まだまだ先は遠いけど、取りあえずスタートラインには立って歩いている、という確信はあります。この先、どんな風景が見えるのか、楽しみです。

P.S. 写真は小山市の洋食レストラン赤煉瓦さんの特大海老フライ付オムライス。なかなか美味であります