我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

短棒鍛錬と小太刀

両手で竹刀を持ち、踏み足にも一定の決まりがあるので、太気拳を学んだからすぐに剣道に使えるとも限らない。(中略)小太刀は短いがゆえに、太気拳の足の使い方、払い方で試合をすればよいのである。

(佐藤嘉道 『拳聖 澤井健一先生』)

 

年末の門下生限定講習会で、28x450 mm のブナの丸棒を用いた練功をいくつかお伝えした。内功鍛錬のための太極棒と小太刀の丁度中間くらいの長さなので、双方の機能を簡易的に(&やや強引に)兼備させている。

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もちろん、別物なので本来なら太極棒は太極棒、小太刀は小太刀で準備して、稽古をする方がずっと良い。しかしそれぞれの代用は、ほぼ出来ないように思う。

その点、ブナの丸棒は「ある程度」双方の機能を代用できる。

さて小太刀の話し。

昔、佐藤嘉道師範から、ご実弟佐藤哲通先生(剣道七段教士)と澤井宗師の剣道の試合の様子を伺ったことがある。

哲通先生は通常の竹刀を、澤井宗師は小太刀を用いて剣道のルールで戦った由。因みに佐藤哲通先生は、栃木県の剣道界ではその剣名が鳴り響く存在だ。

嘉道先生は哲通先生の剣道の強さをよくご存知なので

「いくら澤井先生が強くても哲通には手も足も出ねえべなぁ」

、、、と内心思っていたが、豈図らんや、普段太気拳ばかり稽古している澤井宗師が大いに専門家の哲通先生を苦しめて、哲通先生が得意の上段をとってようやく面目を保つことになった由。

私が知る限り、哲通先生は剣道家同士でも、稽古ではほとんど中段で戦う。上段を執る時は本当に勝負に出るときで、哲通先生に上段を執らせるということは、強敵であると認めさせた人だけだと思う。

澤井宗師の小太刀がどれだけすごかったか、ということであるが、残念ながら太氣拳の師範で小太刀を体系化して伝えられている方を、私は存じ上げない。澤井宗師には到底及ばないが、私は若いときに一時期古武道の剣とか杖を学んだことがあり、その際に小太刀も少しだけ学んだので、最近になって小太刀の型を、拳の練功として編みなおしてお伝えしている。

現代において小太刀で剣と戦う必要性はない。剣術としての正統性よりも拳の練功の一環および、万が一、ナイフなどを相手にせざるを得ない場合の、心技体の備えとして生存率を高められれば、という思いもあって個人的に稽古していた。

ところが最近気づいたのは、剣術系は私にとって(体術系のように)本門ではないので、人さまに教えていないと個人の稽古すら疎かになってしまう。そんなわけで、少しずつ門人さんに教えながら稽古することにした。

まぁ、自分の為ですね!これからの進展がたのしみであります

 

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 中国拳法の流れを汲む武術。創始者澤井健一が立禅と命名した「ただ立つだけ」の独特の鍛練法を核とする。

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