我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

名人の謦咳

中倉の剣道の大きな特色は、足を自在に使うことだ。それは若い頃、中山先生と、植芝先生の足の踏み方から学んだものが大きいという。 中山先生の歩み足の稽古については前にふれたが、植芝先生も歩み足であった。

(杉崎寛『現代武道家物語』所収、中倉清より)

私が大学生だった頃、母校の中央大学では剣道部師範に、昭和の武蔵・中倉清先生が君臨しておられた。 たしか私が入学した翌年に、母校は全日本学生剣道優勝大会を制したくらい強く、その学生たちを監督・津村耕作氏が鍛えていた。

津村監督ご自身が八段になる前後のころで、心技体の充実ぶりが傍目にも伝わって来た。 空手部の私は直接シゴかれたわけではないのだが、恐ろしい人もいるもんだなぁ、なんて思っていたら津村監督がまったく敵わないとい達人がいらっしゃるという。しかも、すでに七十歳代半ばであると。 それが剣豪・中倉清先生だった。

中倉清先生の稽古の様子など:https://www.youtube.com/watch?v=J5uscU2jS1w

当時はインターネットなどない。すぐに検索などすることは叶わなかったのだが、それでも色々と調べてみたら、どえらい人なのだとわかった。思えば当時はまだ古流剣術と剣道を併修される師範もいらっしゃる時代で、遡ると、中倉先生の師匠である中山博道先生は、神道無念流の遣い手。 合気道開祖の植芝盛平先生から、中山博道先生に依頼があり一時期植芝先生の養子になっておられたのが、中倉先生だったと。

中倉先生とお手合わせされた先生のお話もご本人から直接伺ったことが、ある。 その師範が得意とされた北辰一刀流仕込みの突きも、中倉先生にはまったくで通じず、歩み足からの体を開いての横面を面白いように決められたそうな。

なお、その先生によれば中倉師範のお弟子さんで同じ技を使う先生がいたのだが、その方は歩み足で遣う際に兆しがあり、起こりを捉えて突きで迎撃できた、と。 この話を聞いて閃めくことがあったのだが、殴り合いの中である程度体現できるようになったのは、後年、太氣拳を学ぶようになってから。

昭和の時代には、まだ名人達人の謦咳に触れることが出来た。良き時代だったと思う。 良き時代に生きた経験を、少しずつでも今の世の中に還元して行きたいものです。

 

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 中国拳法の流れを汲む武術。創始者澤井健一が立禅と命名した「ただ立つだけ」の独特の鍛練法を核とする。

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