我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

地力を練る

いつもの話で恐縮ですが・・・。


剣道の稽古に行ってきました。月曜日は久々の参加。今日は七段の先生方が沢山いらしており、良い稽古が出来ました。

「元に立った先生の強い処に掛かるのが地稽古。それによって地力を鍛えるのだ」と伺っていますので、基本的にフェイントはしない。剣先の練り合いをして、打ち間に入ったら斬り込むだけ。試合の駆け引きとかは、たぶん一生稽古しないでしょう。


で、ごくまれに先生方の面金に届くことがあります。打たせて下さっていることもありますが、それはともかく、フェイント無しでまっすぐに入る、という感覚だけを練っている。

中心を割った結果として打てた、あるいは打たせて下さった、ということで良い。それで充分。

剣道はおっさんになってから始めたから器用な技が出来ない、ということもありますが、私の本門である拳法の実技は、死命を制する格闘に通用しないと話にならない。

ヘタに小手先のフェイントでだまし討ちする癖をつけると、強敵には絶対に通用しない。相手の命を頂戴するのに、だまし討ちするという心根では、ねえ・・・。


もっとも、実際の話をすれば戦いに虚実の駆け引きは重要な要素です。だけれど、地力を練り上げていないやつが“虚実”なんて言っても、“実”すなわち地力がないのに、その裏である“虚”だけあったって、誰もそんなものには惑わされない。

これは“柔”についても同じ。“剛”がない柔なんか役に立ちませんよ。実があってこその虚、剛が備わっていてこその柔だからこそ、本気で掛かってくる相手に対して使い得る。


ある武術の先生が口を開けば、だまし討ち・奇襲・裏技・暗器・・・について語っています。地力を養う稽古、自由組手、試合など、本気の相手と向き合う行為をすべて否定して、自分に都合のよい設定だけを稽古指導している。

でもね、私から言わせればとんでもないことです。命がかかった場で使う技術、を公言するなら、きちんと地力をつける稽古をやりなさい、と。地力つける稽古をせずに、本気の相手と向き合えますか?ってこと!


自分が一生掛けて取り組む武術に、もう少し愛情を以て接して行けば良いのに。そして、誇りを以て伝えて行けば良いのに、と思いますね。

そもそも、「勝ちゃいい」なら武術なんかやらんでも良いんだから。

修業時代に“懸かる”稽古・“胸を借りる”稽古を充分にしなかった、あるいは、鍛えて下さる先生や先輩方に敬意をもって稽古をお願いする経験を持てなかった不幸な方なのでしょう。


指導する人間は、門下生の大きな壁として立ちはだかってあげないといかんですね・・・。


10月になりました!実りの秋となるよう、励んで参りましょう!


太気拳至誠塾栃木県小山支部は、太気拳を学ぶ武術・武道の道場です。武道初心者はもちろんのこと、武術・武道・格闘技で伸び悩んでおられる中級者以上の方も歓迎いたします。

☆お問合せはこちらhttp://my.formman.com/form/pc/AntTny9AIWHChfRQ/