我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

心を作る 〜 その4

すこ〜しだけやせ我慢なり背伸びなりをすることで力がつくことは、前にも述べた。

やせ我慢や背伸びする、と口で言うのは簡単だが、具体的にはどうすればいいか?

一番いいのは、“人の上に立つ”こと。上に立つ者にとって避けられないのがやせ我慢。そしてもっとつらいのが“決断”を迫られることである。

“判断”なら立場に応じて、誰にでも出来る。“判断”は判断基準にしたがって、リスクを避けて合理的に行えば良い。

しかし“決断”には基準は無い。判断できないところを決めるのが決断だからね。決断には“肚決め”が必要だ。この“肚決め”の経験が男の度量を磨く。

自分の決断に下の者の運命や幸・不幸が掛かっているとなれば、これは大変ですよ。

子供の頃いわゆるガキ大将であった私は、やせ我慢や決断は嫌というほど経験しました。はっきり言って、男の度量は公園の砂場遊びの時代にほぼ決定されるね。

俺が小学生の頃に砂場や原っぱで学んだこと=やせ我慢・肚決め が実行できないおっさん、そこいら中にごろごろ居るもんな(笑)。

それをリカバリーしたかったら、一般論としては社会人として上司になって、下のものをかばってあげる経験をするのが良いんじゃないか?

ただ管理職になるだけじゃ駄目だぞ!ポイントは、下のものの傘になってやること。部下の失敗は自分がかぶり、部下の成功を導いて手柄は全部与える、と。

体布施の精神で、自分を投げ出してみろ。たまには自分についてくる下の者のために損をしてみろ。

男とは、大義のためには平気で損が出来るもののことを指す。

小さなやせ我慢の積み重ねが、折れない心を創る。この心が背景に無いと、本当には武道は上達できないと確信する次第であります。