我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

組手と実戦 〜 その1

最近、身体を掛けた稽古からやや遠ざかっている。すでにここでは何度も書いているとおり、膝を治療している最中ですからね。

少なくとも太気拳に入門してからの10年間は、年中無休の稽古だったわけで、ここいらで一休みしても罰は当たらないでしょう。

週末には支部稽古と剣道があるので、ここで多少負荷を掛けるけれど、平日の稽古は立禅ならぬ椅子禅とウォーキング、ストレッチ。あとはせいぜい竹刀・木刀の素振りくらい。

完全休養しても良いのですが、これくらいはやっておかないと美味しくスイーツを頂けないでしょ♪

太気拳に入門したとき、高木先生に「武道においては体・技・心の順番で創るのが正しい」というお話を伺った。

実際はこの三者は切り離せないものである。どこに比重を置くかということで良いかと思うが、やはり体が充実してこそ、気技が冴えるものであると実感する。

私は今、気技が充実していないので、組手は一切行っていない。こう言ったところ、ある方から「実戦はいつでも起こり得るものでしょ」と言われちゃいました。

「起こしてみますか?」とにこやかに確認させていただいたところ、「え?組手出来ないって言ったじゃないですか」と目をパチクリさせた後、沈黙。

冗談です、と告げて助け舟を。そうか、きっとこの方は、稽古と実戦の区別がついていないのでしょう。

“稽古の”手合わせではやはり、正々堂々立合い、相手を引き出して丁々発止とやり合うのが良い。そうでなきゃ“稽古”や“検証”にならないですからね。

実戦は違う。虚実の駆け引きは動く前に終わらせて、行動起こしたらいきなり制するのが実戦ですよ。

そのためには、ありとあらゆる要素を利用する。そうじゃなきゃ、お巡りさんは来るわ、邪魔は入るわで、大変です。

組手は表技で稽古するのが正しいし、実戦は表技以上に裏技を駆使するのが正しい。

ただ、勘違いが多いので言っておくと、表技がろくろく練れていないのに、裏技なんて出来るわけないですよ。相手だって置物じゃねえんだから。

この辺については、また後日。

(つづく)