我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

澤井先生の境地


本日は雨天につき、拙宅の二階での稽古となりました。日曜に引き続き、本日の稽古会でも、揺・試力の身法を十分復習してから杖(じょう)を遣っての修練を実施。

杖はそれほど値段が張るものでもないので、興味があったら各自で買っておいてください。時々稽古しておくといいかも知れません。

私は時々書いているように、40歳過ぎて剣道を始めましたが、悩まされるのは力み。剣道は手の握りや踏み足が決まっていますので、体術家にはやや厳しいものがあります。

運悪く、棒きれやバット・鉄パイプなど振りまわす輩と争ったとしたら、私にとっては竹刀・木刀より杖の方がはるかに遣い易いです。これはお恥ずかしながら、過去、使用経験が数回あるのですが、体術とミックスで使用したので幸い相手に大きい怪我をさせてはいません。

特殊な人を除いて、現代では“ダンビラ”振り回して戦う、ということは無いでしょうから、実用性のことだけを言えば、剣を学ぶ必要性は薄いと言えます。もっとも、私にとっては大いなる勉強の場ではありますが。

剣道と言えば、茨城に住んでいた二十代半ば頃、名門・東武館のご出身の方と御厚誼賜っていたことがあります。小澤武範士の教えを受けられたとのことですが、往時の東武館剣道は、組討や足払いを盛んに行っており、したがって、剣道家素手の喧嘩も強かったとか。

もともと東武館北辰一刀流ですから、そのような話も頷けます。武術・武道と考えれば、体術家は得物を持っても、そして剣術家は無手でも応じられるのが当たり前です。もちろん、拳術家は組討に、組技師は殴り合いに対応出来ることを目指すべきでしょう。

澤井先生の武術はそのようなものであったのでは、と私は考えています。

幸い、稽古における環境と人間関係だけは本当に恵まれておりますし、肉体的にもまだまだ叩ける余地が残っていますので、澤井先生の境地に一歩でも近付くべく、精進して行きます。