我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

自覚

さて、前回のちょっと固いお話は小休止にして、今日は僕の自慢を聞いとくれ♪

若いって素晴らしい、と言われますが、若さの真っただ中に居る時には、その素晴らしさや有難さをなかなか実感でき難いものですね。

私が武の道を歩んで来た過程で複数の流派・恩師にお世話になった事はすでに述べましたが、二十代のある時期に空手と古流居合において、それぞれ“達人”とお呼びするに相応しい先生に就いていました。

技量・見識・人格ともに素晴らしいお二方であり、私はお二方に追い付くことを生涯の目標に定めて稽古に励んだものでありました。しかしながら、武道専従では無い私は体術と剣の“二兎を追う”ことをあきらめ、少年時代から取り組んでいる体術=素手武道に的を絞ることを決め、古流の師の門を離れました。

そして、体術の方面では太気拳を武道完成の場と定め支部活動を開始したこともあり、空手でお世話になった仲間や恩師とも頻繁には会わなくなってしまいました。

もっとも空手での付き合いは少年時代からのものですし、古流時代の友人H氏との再会もあり、リバイバル的にかつての稽古・鍛練法を再開してみようと思っています。

考えてみれば贅沢すぎる話なのですが、空手のX師と古流のZ師のお二人に一定期間学んだ人間って、日本で(いや、世界でも??)唯一、私だけだろうと思います。思えば、当時はその有難さをまだまだ分かっていなかったのう・・・。

でもでも、恵まれ過ぎている武道運は、紆余曲折を経て今もまだ継続中!太気拳では高木塾長に素晴らしき教えを頂戴し、佐藤嘉道先生は同じところで買い物をするくらいの御近所であり、ご実弟佐藤哲通教士には練兵館で稽古を頂戴出来る(←毎回ボコボコ)・・・という何不自由ない日常・・・あれ?どっかで聞いたような?・・・なのであります。

二十代の頃と違うのは、この有難さを心より感謝し、また、人生の折り返し地点に差し掛かっているということもあって、より真剣に取り組ませて頂いている、ということです。

そして何より、稽古を頂くだけであった当時と異なり、今は私の許に稽古に来て下さる人達がおられる、ということ。私も大袈裟に言えば、得たモノを社会に還元する立場に立ったということ。恵まれ過ぎた環境は、そのために天が与えて下さったものでしょう。

心は十代二十代のままですが、今後はその辺しっかり自覚して邁進します。