我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

マイ左遷ライフ 〜その1

昔、左遷ってやつを体験した事があります。ある関係会社へ出向が決まったのですが、そこは、数年後に他社への売却が決定していました。人員整理の片道切符ですね。

色々な人が私の行く末を心配し、勝手に嘆いてくださりましたが、サラリーマンとして自分は大きく羽ばたくのはすでにあきらめて居た私にとっては、カエルの面にションベンです。

当時の仕事に嫌気がさして居ましたので、東京に戻れるということもあって、私はニコニコとして新天地に赴きました。

ニコニコしながら、関係会社の幹部と挨拶を交わします。数百人規模の会社ですので、所属長・部門長だけではなく、社長さんや専務さんともお話が出来ました。

社長さんにお会いしてびっくり。その方は、入社式の夜の懇親会でお会いした本社の経営陣のお一人でありました。国内の営業部門の頂点に君臨していたその方は、その夜はなぜか私に話しかけて下さったのですが、物静かななかにも非常なオーラを感じたものです。

二度目にお会いしたときには、そのオーラがすっかりなくなっていました。むべなるかな。関連企業を含めて万単位の人員を束ねて居た地位から、彼は滑り落ちたのですから。

豪華な役員室、高級車での送迎、料亭や高級クラブでの飲食、そして、会う人も財界人・・・と言う立場から、まったくなじみが無い業種の小企業に、いわばお飾り社長として送り込まれたわけです。

イエスマンに囲まれて、一流の人間と会い、ガンガンと自分の考えで社業を切り盛りしていたころはエネルギーがみなぎっていました。関係会社では立場的には部下である専務が、実質のトップであり、全てを仕切っていたのですから、社長とはいえ、彼はお飾りにすぎないのです。

志や覇気を失った男はみじめであるな、と私はその時に学んだのであります。

私、ですか?私は今まで何度も申し上げましたとおり、会社での自己実現=出世を目標として居ませんでしたから、そんなのカンケーねー!です。