我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

男とは?

「男というのは、損をするものですよ」

これは世界的な空手家であられる矢原美紀夫師範の言葉である。空手雑誌で読んだ台詞なのだが、すごいことをサラリと口にする人が居るものだと思った。

小生、矢原氏はご高名を存じ上げているだけで一面識も無いのだが、万事が損得の世の中であるだけに、こんな言葉が輝いて来る。

男伊達の世界でこんな言葉がある。

「男で在りたい。男で生きたい。男で死にたい」

格闘家のエンセン井上氏が有名にした言葉であるが、結構古い言葉とみえて1969年には映画で“代紋 男で死にたい”なんてのがあったらしい(観てない)。

「男で死にたい」は、いつの頃からか座右の銘とでも言うべき言葉になっていて、私が武道を稽古する理由ってのは、この美学を貫いて生きて行きたいというところにある。

でも今までは“男”の定義がその時々でブレていたような気がする。シンプルに“男”を語る言葉が少なかったから。

これからはこう言おう。「男というのは、損をするものですよ」と。

ましてや、私も男の中の男たるべき武道家のハシクレだから「信じたこと・信じた人の為には平気で損ができる男」でありたいと思う。