我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

落ち葉の音(鉄)

森での立禅が鉄太郎の毎日の日課だ。

毎朝の立禅は、
俺にとってかけがえの無い時間となっている。

栃木に引越して来てから、
今まで室内で組むことが多かった朝の立禅を、
社宅の敷地内の森で組むことにした。

空気の重さ、土の温度、森の音や鳥の声、
といった朝の森の自分を取り囲む全てを肌で感じる。

それらと自分の呼吸、姿勢、想い
・・・が溶け合って自分と自然が一体となる瞬間が、
数分だがやってくる。

至福の時。
この数分を味わう為に禅を組んでいる、と言っても過言ではない。

モチロン、武的な能力を獲得する、
というのが太気において立禅を組む第一義なのだが、
太気拳において自然さを離れての武的な能力追求は有り得ない。

今日も気持ちよく朝の禅を組んでいると、
頭上でかすかに「プチッ」「パチッ」っという
音が聞こえる。と、次の瞬間落ち葉がはらはらと舞い降りてきた。

風が吹いているわけではない。
数分後、
また「プチッ」という音に続いて落ち葉が舞い降りる。

ああ、これって枝から葉が落ちる瞬間の音なんだな・・・。

今日から12月。師走だ。
早いもので今年ももう残り一ヶ月。実りある一年だっただろうか。
落ち葉の舞う中、想いをめぐらせた。