我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

立禅に始まり、立禅に還る

指導の場に立つ者は、責任重大だなぁ・・・。いろいろな意味でね(*^。^*)
木曜日の稽古会に、道場の大家さんである福富先生のご紹介で、女性の体験者がみえました(文中では、仮にXさんと呼ばせて頂きます)。

このXさん、某有名空手流派に現在も所属されているとのことですが、キャリアがある程度あり、指導も少しされている由。なんで太氣拳を体験しに来たのかというと、身心の有効な使い方や戦術について知りたいから、とのこと。
私も他の道場での指導については興味があったので、稽古開始まで少し時間があったこともあり、休憩時間や稽古の前後もお話を聴きました。総括すると、Xさん自身、効率的な心身の使い方や戦術など知らない、習っていない、それゆえ、当然指導する子供にも伝えられない・・・などなど、色々と悩みの種は尽きないようで。それでもXさん、空手・武道が好きなので続けておられる、ということでした。

さて、稽古では道場生の復習を兼ねて立禅の解説と実践から入り、虚実分明・軸移動・歩法・身法など基礎的な内容を理論と実技を通して修練。最後は推手で終了。

稽古を終えたXさんの感想
「瞬間的な体の変化(身法)が凄く速くて、(島村と)組手で向き合ったらかなり嫌だな、と感じました」
「身体の中で使えていない処だらけなのだと、よく分かりました。カラダが凄くほぐれて、準備運動の時点で心地よい眠気との格闘でした。・・・私、普段から緊張で身体ががちがちなのでしょうね」

武道で一番大事かつ一番難しいのが「今、この一瞬と向き合う」こと。ヒトは「過去の経験」から「近い未来に起こり得るリスク」を予測し、何も起こっていないうちから、勝手におびえる。心が不安にとらわれれば体も硬直し、次の瞬間の変化の可能性を奪う。そして相手の攻撃をもらう。その経験が不安を呼び起こし・・・という悪循環から、なかなか抜け出せない。

そこから抜け出すためには、今流行のアドラー心理学の言葉を借りれば「勇気づけ」が必要である。しかし、「前に出ろ」「自分が怖い時は相手も怖いんだ」「ガードを挙げろ」・・・などなど、こういう借りてきたような「心掛け」は、勇気づけにはならない。そんなことで乗り越えられるのは、素質があるヤツか、でなければ相手が弱いか、といったところだろう。

ではどうするのか。「自分は戦える!」という自信・確信を持てるよう、相手と交錯した瞬間に居付かず変化できる自分を創り上げるしかない。実際の勝敗は時の運であるが、「やるべきことが出来る」という自信がある者と、それが無い者とでは、天と地の差がある。

動ける身体、動いたどの地点においても力に満ちた身体を作り出すもっとも確実な方法が、静の極致ともいえる立禅。そして、静で培った力を、揺(ゆり)・這(はい)・練(ねり)といった稽古で、動きの中で練り上げ、推手・組手などの相対練習で相手を付けて検証する。そしてまた立禅へ・・・という無限の循環がある。

立禅に始まり、立禅に還る。この原理原則を知識ではなく、動きにおいて体現し、組手で実証せねば、いくら戦って強くても少なくとも「太氣拳の指導者」とは言えない。
名実ともに胸を張って「太氣至誠拳法」を名乗れる存在となるべく、日々精進でありますね!!

<立禅をお伝えする講座の関連記事です> 5/21(土)筑波山で立禅を学ぶ会http://ameblo.jp/mamadance/entry-12154894657.html

5/29(日)立禅基礎講座:http://d.hatena.ne.jp/superbody/20160529/1462363989


太氣拳尚武館は、太氣至誠拳法(通称・太氣拳)を学ぶ武術・武道の道場です。武道初心者はもちろんのこと、武術・武道・格闘技で伸び悩んでおられる中級者以上の方も歓迎いたします。また、護身・健身(健康づくり)目的の方の参加もお待ちしております。稽古会場:小山市栃木市宇都宮市上三川町詳細は:http://taikiken-tochigi.jp/practice/
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 中国拳法の流れを汲む武術。創始者澤井健一が立禅と命名した「ただ立つだけ」の独特の鍛練法を核とする。

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