我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

思邪無

思いに邪なし


午後のひと時、仕事が佳境に入って来たあたりで職場の女の子が「島村さんに、すごいところからお手紙が来ています!」とはがきを渡してくれた。

昨年からご厚誼賜っている“あの方”から寒中見舞いを頂戴しました。そう言えば、初めてお会いした際に、名刺交換したのですが、太気拳の名刺が無いため、仕事の名刺をお渡ししていたのでした。

お名前も肩書も凄そうな方ですね、と女子社員。んん?凄いも何も、現代のサムライですよ。「あの〜、はがきの中央にある“思邪無”ってどうゆう意味なんでしょうか??」と興味津々。

思いに邪(よこしま)無し、だよ。読んで字の如く、邪念の無い真っ直ぐな心で人や物事に向き合う事だ、と説明すると、「そういうことを言える人は怖いですね」とうなずいている。なかなか、良いところを見ているな。

至誠を以て天下の大道を歩む者にとっては、怖いものなどはない。南洲翁遺訓に曰く「平日道を踏まざる人は、ことに臨みて狼狽し、処分の出来ぬもの也」。強さとは、ことに臨みて過たざることだ。強さを得るためには、邪の心を振り払って道を歩むことが、何より確実な道であろう。

思いに邪無し。私も太気“至誠”拳法の末席を汚す者として、この言葉を胸に刻んで生きよう。