我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

自ら愛するを以て敗るる


最近、「自分大好き人間」なる言葉をよく聞きます。本当の意味で自分を好きになること、と昨今の自分大好き人間は、違う気がする。

自己愛については、西郷隆盛先生の『西郷南洲遺訓』に耳が痛い事が書いてありますので、私自身への自戒を込めて備忘録代わりにご紹介します。


引用開始
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二十一、道は天地自然の道なるゆゑ、講學(こうがく)の道は敬天愛人を目的とし、身を修するに克己を以て終始せよ。己れに克つの極功(きょくこう)は「母意母必母固母我」(論語)と云えり。總(そう)じて人は己れに克つを以て成り、自ら愛するを以て敗るるぞ。能く古今の人物を見よ。事業を創起する人其事大抵(そのことたいてい)十に七八迄は能く成し得れ共、殘り二つを終る迄成し得る人の希(ま)れなるは、始は能(よ)く己を愼み事をも敬する故、功も立ち名も顯(あらわ) るるなり。功立ち名顯るるに随(したが)ひ、いつしか自ら愛する心起り、恐懼戒慎(きょうくかいしん)の意弛(いゆる)み、驕矜(きょうきょう)の氣漸く長じ、其成したる事業を負(たの)み、苟(いやしく)も我が事を仕遂(しと)げんとてまずき仕事に陷いり、終に敗るるものにて、皆な自ら招く也。故に己れに克ちて、賭(み)ず聞かざる所に戒愼(かいしん)するもの也。
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以上、引用終わり。


何を言っているのか。思い切り大雑把に言うと

「克己心と天を懼れる心を忘れては事業も学問も成就しない。多くの者が7〜8割方まで行ってもそこで油断して自己愛が出てしまい、ついには道を成就出来ないのだ」と言う感じでしょうか。


大方の人は、ある程度のところに達するとそこで自己愛が出て満足してしまっておごり高ぶり、ついには失敗する、と。

すなわち、大願成就のためには己を愛する心が大敵であると、そういうことを語っているわけですね。

「天の時」「地の利」「人の和」でしたっけ?


大きな目標を掲げたら、自分一人の力だけで進むことなんか不可能で、有形無形で周囲の人からの教示や助力をいただかねば、到底達成しえない。


俺が、俺がの人間はテメェで遮眼帯着けてっから「天の時」だって感知出来ないだろうし、天も人も力なんか貸さないって(笑)。


道家が「天地自然の道」を忘れたら、アウトだわな・・・。ワシも自戒です。



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