我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

武術のスタミナ

小山支部の今年の稽古方針ですが、特に目新しいことではなく、基本の充実と身体の鍛え、中でも呼吸力養成を中心に据えて進めて行こうと考えています。

また、武術の稽古は本質的に危険を伴う行為でありますから、安全面には特に気をつけて行きたいですね。

支部では年内の黒帯取得が射程圏内に入ったM君をはじめ、昨年の11月にYさん、今月はAさんとFさんが入門後2年経過者です。4月にはMさんが2年となる。いわゆる中級者がそろってきたことから、もう一段上を目指すべく上記の方針を掲げた次第。

今日の稽古では身体の鍛えということで、筋(スジ)の鍛え方と呼吸について話し、練(ねり)・ミット打ち・推手で息を上げる。

呼吸は大事です。呼吸法の細かい説明といったことより、稽古の中で息を切らさずに動き続けることを皆に要求しました。呼吸力を鍛えスタミナを練らないと無いと、駄目です。いくら凄い技術があろうとも、多少動いたくらいで息が切れてしまうようでは話にならない。

武術のスタミナを養成するためには、必ずしも走り込む必要はない。長距離走が得意だったり、水中で長時間“息留め”が出来るような人でも、力みや精度の低い動作を行ったり、稽古の最中に虚をつかれれば、たちまち息が上がってしまうものです。

剣道でも“切り返し”を一息で打ち込む稽古を行い、身体操作や手の内の取得と同時に、剣道のスタミナ・呼吸力を養成する。武術のスタミナや呼吸力は武術の稽古で練るものでしょう。

私が東京に居たころ、稽古後によく高木先生の“推手ダミー”を務めさせていただき、おかげさまで身体を練り上げて行く事が出来たことは、以前にもここで書きました。本当に大きな財産であります。

その恩は私が支部の門人たちへの稽古指導に還元することで、ゆっくりとお返ししたいと勝手に考えています。