我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

帯研


本日、小山市内の屋内施設にて太気拳至誠塾栃木県小山支部の第一回黒帯研究会(通称帯研)を行いました。塾生の参加者3名、特別ゲスト1名に参加頂き、私的には大成功!でありました。

午前中は太気体操、立禅、揺、練、そして相対練習。初めの太気体操で身体の整え方について解説。基本稽古にも普段以上の時間を掛ける。

相対練習は迎手(むかえて)と差手(さして)をテーマにした約束組手、掌打合わせ、最近新しく取り入れた打ち込み稽古を行う。最後はお約束の自由組手。

Mさんを除く4名で総当たりを、と考えて組手開始。私は二人目のFさんとの稽古の終了間際、足を踏まれて左足親指の爪が完全にはがれる負傷をおってしまう。根元でかろうじてつながっているだけの状態。両サイドもはがれており、かなり血も出ている。とりあえず手拭いで縛って応急処置。

M君にはゲストのH氏とやってもらう。H氏は私の昔の稽古仲間であり、豊富な武歴を持っている。現在は武術空手・凱旋塾で空手を稽古している。今回の第二部では講師も務めていただく。

空手、とは言っても、豊富な武歴に裏付けられ凱旋塾で磨かれたH氏の動きは、巷間で見られるそれとは大きく趣を異にする。歩み足で間を詰め、前手を封じていきなりM君をボコボコにする。さすが!

いや〜、H氏を招いて良かったですね。こう言う経験が大事なんです!M君がH氏を完封してもそりゃ嬉しいですけれど、経験が違うからね。やられる経験や得体の知れない相手(失礼!)と稽古することが、武術家としての“根っこ”“地力”を作る。

で、M君も戸惑いながらも最後は一発良いのを入れました。

左足親指の痛みもありどうしようかと一瞬迷いましたが、遠路はるばる来てくれたH氏と手合わせすべく、左足の手拭いをきつく締め直す。こうしておけば、一試合くらいは大丈夫(のはず?)。

H氏の独特なリズムと動きに迷わないように注意する。心が浮ついていたり恐怖に囚われたりすると思うどおりの立ち合いは出来ない。浮ついて引き出されないように、ということだけを考えてなんとかそこそこの組手になりました。ここで第一部の稽古を打ち切り、皆とラーメンの「近江や」さんへ。

塾生に席を取って先に食べているように指示し、私とH氏はドラッグストアへ。薬を買い、応急処置を済ませる。Hさんは薬の卸問屋さんの営業。薬のことも詳しいし、応急処置もわかっているのでたすかりました。

ドラッグストアでもちょっと楽しいやりとりがありましたが、それは別稿にて(笑)。

近江やさんに戻り、美味しい手打ちラーメンを頂いて第二部を行う会場に向かう。第二部は和室だ。今回はHさんに逆手を習うので、和室は都合が良い。受け身も取りやすいですからね。

第二部は走歩の揺(試力)と這、そしてその応用編である力の出し方、ついで打拳を行う。Hさんが以前学んだという某拳法の打法も紹介いただく。一部で相当に恐れられているという某拳法、実は太気拳の打法とかなりの共通性があることが分かった。すこし感動。

小休止ののち推手を行う。まずは片手推手で力の出し方を確認し、ついで双推手に移る。私も加わって、ガンガンやりあう。もちろん、親指への攻撃は禁じ手だ(笑)。怪我をしていると、神経が鋭敏になるなぁ。たまには良いかも?いや、冗談です。

推手をひととおりやり、その流れで接近戦での戦い方をいろいろと試す。別のところで聞いた話ですが、中国の散打試合ではシュワイジャオ(中国式柔道)の技術が不可欠であるとか。好き嫌いは別にして、ある程度の接近戦の技術・慣れは備えておくべきだと、私個人は考えています。

大トリはH氏による逆手・捕り手の指導。Hさんも彼の空手の師匠の沙人塾長(芸名。俳優さんです)も、太気拳の技術は書籍やDVDで研究しているとのこと。で、太気拳の逆手についても、大東流合気道、○×流などの合気系武術の見地から原理の考察をいただく。その内容ですが・・・目から、ウロコです!

詳細は割愛させていただきますが、通常、書籍や雑誌には掲載されない内容の実技の体験もさせていただき、心より感謝であります!ただ、あれだけの稽古は、我々だけでは再現できないだろうな。

大学で合気道部の監督をされているYさんは、先日の水曜稽古会で帯研に参加できないことを残念がっておられましたが、ワシらも残念です。Yさんなら我々が理解できないようなところを理解できたかも知れませんから・・・。

そんな“超特濃”の稽古を楽しんで帯研終了。私の自宅に場所を移して、カキ鍋でアルコール無しの宴会に。そこでもいろいろお話が飛び出し、楽しいひと時が過ごせました。

稽古に来てくれた皆さんに、遠路はるばる交流しに来て下さったHさんに、そして小山支部開設を認可くださった高木塾長に、感謝!であります。