我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

手之裡(てのうち)

先月末は稽古で逆手・捕手の稽古を多い目に行っていました。

「掌内圧」や「指勁」を動きの中で練るには、良い稽古だと考えています。

争いごとで手首掴むシーンは少ないでしょうが、指尖、掌、手首、前腕、、、という具合に先端部から根幹につなげて力を発動・吸収・再生産するプロセスを学ぶのに最適な稽古のひとつです。

普段単独で行う練功の検証ですね。

その辺り踏まえてみると捕手は打拳の稽古にもなるし、打拳を練っていたら捕手の稽古にもなる。そこに推手を加えると、さらに立体的な稽古になる。

ご交誼頂いている合気道の立石先生が先月facebookにアップされていた投稿で、この辺りを題材にされており見事に急所を捉えた表現をされているので、その一部をシェアさせていただきます

以下引用開始。

合気道素手ではなく「気」の剣と槍を扱う

②手を持たれるのではなく、持たせている。持たせる稽古は間合いの確認と「先」を以て導く稽古。従って、持たれた場合の対処法ではない。

③基礎は手刀にある。手刀は人体の構造上非常に合理的に活用出来る。手刀は木刀と棒術によって磨かれる。手刀が気の剣と槍の発する出口となる。

以上、引用終わり。

表現はさまざまですが、「剣の理合」を語る合気道師範は巷にあふれています。合気道が剣の理を体現されているのならば、打突系・打撃系を主体とする体技に、ある程度対応されることと存じます。

実はこの文章が掲載される2~3週間くらい前だと思いますが、YouTubeで「ボクシングの打撃に対応する」と銘打って技法紹介されている合気道の先生の動画を題材にfacebookに投稿しました。

道場の壁には木刀が何本も掛かっており、剣の稽古をされているであろうことを物語っていたので、期待して拝見。ところがどうやら期待とは裏切られるためにあるようです。お相手を務める方の打拳すべてが、空手でいう「追い突き」のごとく後ろ側の手で繰り出す拳で、しかものんびりした速さで突いており、ボクシング的には超の付くテレフォンパンチ。さらには技にかかって投げられることが前提ととれる体構えでした。

お相手のゆっくりした「打撃」をかわして掴み、投げていましたが、かなり興ざめで驚いた次第です。師範の動きを拝見した限り、そこに剣の「け」の字も感じられなかったのは、私が未熟だからかもしれませんが、、、。

個人的にこの先生に恨みがあるわけでも何でもないので、動画の貼り付けは無しにいたします。

閑話休題

立石先生が言われた気の剣・槍は手之裡(手の内)の大事(だけではないでしょうが)を言われているのかなぁ、と。

手の内に関しては、私は比較的うるさく言う方で、門人さんにも上述の捕り手・逆手技法や、木刀の素振り、道具も相手もなしで行える練功など、色々行っております。

また、数年前より入門して教えを受けている刀禅の小用先生からも、手の内の練功については様々な角度から教えを受けており、末端から中節・根節へとつながり響き合い、相互浸透していくプロセスを楽しんでいます。

武術面での変化が日常動作の深化にもつながり、そこからさらに武術面に還元され、、、という変化も見いだされ、そうなると生きている時間すべてが練功になっていくなぁ、と都合よく考えております。

 

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