F1ではなく
4月1日の水曜稽古会からAさんが復帰された。空手をやっていた頃の古傷を再度やってしまったというので、一ヶ月間お休みされていた。
メールには復帰の挨拶とともに、「もう若い頃と同じようには出来ないですね」と言う旨の文章が綴られていた。ちなみにAさんは私より一つ上の41歳。
確かに私にもそれは言える。身体の焼き直しに取り組んでいて痛感するのだが、ジャンプ系の能力や柔軟性、そして何より疲労からの回復力は明らかに落ちている。
とは言え、筋肉と心肺機能をとことんまで追い込めば20歳代のように行かないというだけで、稽古を行う上で何ら問題は感じていない。
我々武道人は、マシンを最高の状態に仕上げて最高のピットクルーに支えられて、整備されたコースを走る速さを競うという、いわばF1のような価値観には、生きていない。
状態が悪かろうと身体的パフォーマンスが落ちようと、我が身を全うするのが武道人だ。競い合いではなく、悪ければ悪いなりに、状況をコントロールする。
そこに求められるのは全人格的な総合力だ。特に求められるのが精神力。精神とは人間の情報処理のプログラムだ。武道が究極的には精神の修養にかかっていると言われる所以はここにある。
身体能力は勿論鍛えておくべきだが、我々が走るのは整備され信号も歩行者も居ないレーシングコースではない。壊れにくく燃費の良いファミリーカーを、適切に運転し、生涯無事故で過ごせるドライバーでありたいと思う