本質
東京の本社で教育を受けた。海外代理店のマネージメントについて学ぶ、という趣旨の研修だが、そこから感じたことに武術を絡めて、少し述べてみたい。
ビジネスの世界でパラダイムシフト(Paradigm Shift 物事の大きな枠組み・考え方の変化)が起こった場合、皆がゼロからのスタートとなる。よって、大企業だから・勝ち組だからといって安穏としていられない状況となる。
この場合、いち早く変化に対応できた者が勝者となる。いわば、生まれ変わると言っても良いのだが、そのために必要となる要素は次の三つなのだとか。
1.Passion (情熱)
2.Boldness(大胆さ)
3.Courage(勇気)
各分野で変革者となり得た人物は皆、これらの要素を備えていた、とのこと。小生思うに、上記三項に加え、歴史に残る為にはEssential (本質的)であることが必要だ。
武術の世界で変革者と言えば、太気拳の源流である意拳の創始者・王薌齋先生などは、その代表格といえる存在であろう。
武術の場合は、同じ身体構造を持った人間同士の戦いであるだけに、革新的だから勝てる、というわけではない。王先生が後年、不世出の達人となり得たのは、意拳が武術の本質を余すところ無く伝えたメソッドであった為である。
大胆にも套路を廃して站椿(=立禅)などの内功法を重視した独特のメソッド。
それだけなら、単なるキテレツなトンデモ武術になりかねないが、そこに武の本質があればこそ、若き日の澤井宗師を含めた多くの強者が、その拳の前にひれ伏したのであろう。
大切なのは常に本質と向き合うこと。形式が革新的なものなのか、伝統を墨守しているものなのかは、大きな問題ではない。それは枝葉の問題に過ぎないのだ。
真に価値あるものは、パラダイムが変わろうと生き残る。なぜなら、それは普遍的なものであり、普遍性は本質的なものからしか生まれないからである。
目指すべきは形式の不変ではなく、普遍の本質である