我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

武術、武道、護身術 その1

神戸の兄弟こと安部孝重氏が、自ら主宰する道場名を旧名の「Shin-Kobe 実戦合気護身武道」から「Shin-Kobe 実戦合気武道」に変更されました。

ちなみに、旧名にしてもかつて「護身術」を名乗っていたものを、独立を機に「実戦合気護身武道」に変更しており、今回が三度目の道場名となる。

Shin-Kobe 実戦合気武道:http://shinkobe.site/

良い機会であるので、この護身術と、武術、武道の区別と連環について数回に分けて述べてみたいと思う。

ところで、世間ではこの「護身術」なる言葉をどうとらえているのか。Wikipediaに頼ってみた。

以下、引用開始。

護身術(ごしんじゅつ、英:Self-defense)とは、周囲の犯罪や災害などから自分や他人の生命・身体を守るための知識や技術、方法などの総称。

広義には危険に近づかない知識や技術なども含まれるが、狭義では暴漢撃退法のみを指す。ただし、武道・格闘技などの専門家が護身術の指導も行っている場合も「相手を倒すこと」ではなく「安全に逃れる方法」を指導することを重視しており、いわゆる武道や格闘技のような制圧を目的とした術技ではない。

以上、引用終わり。

おそらく武道家で「護身術」なる言葉を人口に膾炙させたのは、柔道の嘉納治五郎師範だと思う。

ちなみに講道館護身術の体系・名称は、嘉納師範の死後確立されているのだが、理念は師範が1889年の講演「柔道一班並二其教育上ノ価値」において柔道の効用・目的の一つとしてあげていた「勝負法」に含まれると理解するのが妥当だろう。

嘉納師範に招聘されて、琉球武術であった唐手を「空手」として日本本土に普及させた船越義珍師範の著書『空手道教範』(昭和十年)にも、「女子護身術」として自己防衛術が紹介されている。


護身術が役に立つのか否か?弱者(なかんずく女子)が武を学ぶ意義はあるのか?ということが武術・武道修行者や、一般の方の間でも話題に上ることがある。

私個人の経験を基に言えば、「役に立つし、意義はある」と考える。

ただし、そこにはいくつかの条件があって、有体に言えば「師と道場をきちんと選べば」ということになる。

個人的意見として「役に立つし、意義はある」と書いたが、その同じ口で「護身術と銘打って教える道場に、まともな(ことを教える)ところは少ない」と平素、言っているのだが、その真意は稿を改めて論じたい。

(つづく)

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