我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

一技入魂 〜その2

私が一技入魂のお手本にしているのが、当支部の会員であるMさん。彼は地元で太極拳を教えておられる。

30歳代で脳梗塞に倒れ、半身不随の可能性があった状況からMさんは復活されたという。太極拳を始めたのもリハビリを兼ねてだそうであるが、今では指導をされるまでになっている。

入魂のリハビリによって今や並以上の身体能力になった。太気拳の稽古も非常に熱心に取り組んでいる。技や動きの要点を、的確に捉えている。

Mさんの稽古は一技入魂だ。動かない四肢を格技ができるまでにする過程で、どれだけの気合を注入したか、想像すら出来ない。

上達しないと悩む人は多いが、どれだけの魂を注入して稽古しているのか、よー考えてみろっちゅうの。俺も含めてな(笑)。

大病や障害を負っていないひとがMさんの10分の1でも入魂すれば、まともな黒帯くらいになるのは簡単だろう。

私もえらそうなことを言っているが、もっと気合入れて稽古しないとな。

仕事だとかその他の用事は無限にあるのだけれど、限られた時間で太気拳の看板を張るには入魂の稽古しかない。

繰り返すけれど、武道人の心の修養は入魂の稽古によってなされる。どっかから引っ張ってきた道徳論もそりゃ悪くないだろうけれど、それは一般人向けの修養でしょ。

鍛え上げ研ぎ上げられた刀が放つ光こそが武道人の輝きの原点だ。もっとも、それとて普段は鞘に収めておくものではあるのだが。

武力はその発動力と抑制力を練り上げてこそ価値がある。鞘だけあったって、刀が無きゃ締まらないわな。鞘が無い刀は錆びちゃうしさ。
明日も朝から刀を研がないとな。それと今週こそ空振りしないで高木先生の稽古を頂戴したいですな。

・・・というわけで、ウォーキングと素振りをやって寝るか!