我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

気合だ!


「あのチワワ、脅かしたったで!」帰宅するなり、嫁が嬉しそうに報告を。「それ以来、チワワおばはん、うちの前を通らないわ」おお、そうか、そうか。

解説しよう。御近所にチワワを飼っているおばはんが居るんだが、そのチワワ、毎日うちの大和の前に来ては、凄まじい勢いで吠えまくる。しかも、連れ居てるおばはん、「あらあら、ダメじゃないの」な〜んて言いながら、動くのは口だけで腐れチワワが吠え疲れるまで動かない。明らかに挑発だよな。

しかも、「ごめんなさいね。ウチの子、こう見えて暴れん坊なの」だと。暴れん坊だ?暴れさせてみろよ、ピットブルを乳母に育った大和相手によ!

最初はニコニコして居た大和ですが、近頃では怒りだすようになってしまいました。チワワおばはん、ご近所迷惑だからウチの前通るなってんだよな。

んで、家内がついにブチ切れた。チワワ相手に怒りだした大和に向かって「ゴルァ!大和ぉ!!うるさいんじゃ!クソボケがぁ!!」と一喝。

びっくりして「気をつけ!」状態の大和。そしてチワワはお洩らし。おばはんは、お洩らしチワワを引き摺って逃走。ざまぁ見さらせ!これが狙いです。家内の作戦は功を奏しました♪

ここまで聞いて、私は親父の卒業試験の話を思い出しました。

大学の卒業試験にカンニングペーパーを仕込んで臨んだ父、そしてその空手部の同期であったTさん、夢中でカンペーを書き写しているうちに試験官の存在を忘れてしまい、気付いたら背後を取られていました(武道家失格やね)。

二人揃って教官室へ。たっぷりと油を絞られ、ヤバいムードに。二人の失格&留年がほぼ決まりかけて居たとか。

と、そこで不意に扉が開く。そこには空手部の監督Yさんの姿が。普段から恐ろしかったY先輩ですが、そのときはまさに赤鬼のごとき形相。ヤバいことになりました。

憤怒の形相でつかつかと二人に歩み寄ると、「島村ぁ!T!貴様ら空手部の看板に泥を塗りやがって!!」バコ!ドス!言い終わるが早いか、教官室で鉄拳制裁が始まります。

「監督!すみませんでした!」「ええい、うるさい!お前らのやったことの重さを、身体に刻んでやる!!」一方的なリンチが始まり、突然の惨劇に凍り付く教官室。

教授「あ、あの、監督さん・・・その辺で」 Y監督「ああ!?こりゃ空手部の話じゃ。部外者のあんたはだまっとれ!」あれ?空手部の話だったっけ??完全に監督の独り舞台です。

監督「おう、島村!T!なんでカンニングなんかした!」 島・T「・・・」 監督「そうか、わかった。出来心だな?出来心でやってしまったんだな?」 島・T「押忍!そうです。出来心であります!」

監督「よし!次の試験はこんなことやったらダメだぞ!」島・T「押忍!ご指導、ありがとうございました」 お〜い。卒業試験の次っていつですかぁ?

監督「先生方、これにて両名への制裁及び指導を完了いたしました。教授会の方から、なにかありますでしょうか」

あっけに取られる教授たち。「い、いや、両名については・・・」もごもごと口を開く教授を遮る監督。「特にないそうだ!これにて、一件落着!解散!!

というわけで、ふたりともめでたく卒業できたそうな。ちなみに、ヤキを頂戴している最中から、Y監督の鉄拳、普段よりだいぶ手加減しているのがわかったとか。ま、素人さんにはわからない程度だったのでしょうが。

どうだい、良い話だろ?無茶苦茶な話ではありますが、まぁ、世の中、気合いちゅうことやね♪