我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

根幹原理とテクニック - その1

今日の稽古会では立禅・揺を行った後、打法を主眼に進めました。太気拳の身法を根底において、いくつかのパターンで正拳や掌打、蹴りを出して行くいわば格闘技的な稽古です。

参加者はMさんとFさん。お二人とも武道経験はあるものの、徒手格闘技の経験がないのでやや戸惑い気味だったようですが、身体遣いの根幹は同じであることをすぐに理解したようです。

ポイントはスムーズな体重移動。パワーの源泉は足腰にあり、それが体重移動により無駄なく伝えられることで無理のない動きになる。無理なく動けないと、自然な連打が出ません。

自然な連打が出ないとアタマでこさえたコンビネーションに頼ることになり、相手が予想外の動きをすると、すぐに「字余り」になってしまう。

単独での動きをやった後、ミット、そして立木打ちを行い、小休止を挟んで推手でシメました。

太気拳で難しいのは、根幹原理と個々のテクニックを如何に繋げるか、という部分ではないかと思います。

一概には言えませんが、多くの武道・格闘技では後者(=個々のテクニック)を前面に出して稽古を進めます。全くの素人にある程度の技量を習得させ、一応組手が出来るレベルにするには向いていますが、“ある程度”より上を狙って深めて行く段階において壁があるようです。

これに対して、太気ではまず根幹原理の習得を図り、それを個々の動きに繋げて行きます。本質にいきなり切り込むので、そこがキチンと理解・実践できていれば、個々の段階に応じて稽古を深めて行くことが出来ます。

ただし、本質的とは抽象的であることですので、現象的=具体的なレベルにおける検証とフィードバックが不可欠です。これがないと、立禅・這・練で自己完結してしまい、極端な話、巷に居る“運動メソッドオタク”になってしまいかねない。

根幹原理とテクニックについては、家内が就いている声楽の先生がやはり同様の感想をお持ちになっている、ということでした。

(つづく)