我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

相撲学園構想〜その2

道場のメンバーの一人が会社を経営しており、現在就いているコンサルタントのアレンジで、モンゴルに研修に行った由。近代文明と隔絶した生活をしている人々に触れることで、もともと人間が持っている能力や身体性にじかに触れる、ということがその目的。

彼にとってモンゴル訪問は2回目で、前回同様モンゴル相撲と手合せする機会を得た。前回はまさしく「秒殺」だったそうだが、今回は数分持ち堪えたということで、まずは進歩アリ、ということだろうか。

モンゴルの遊牧民と生活したという事だが、まず基礎体力と運動能力が違う、という。彼らは日々の労働で鍛えた筋力のみならず、馬や牛の関節構造・反射などを体験的に知り抜いていて、十代半ばで子牛・子馬くらいは軽くコントロールするのだとか(そう言えば家内は乗馬クラブで働いていた経験があり、馬の脚力を殺す方法は知って居るらしい\(◎o◎)/)。おまけに裸馬に普通に乗っているわけで、下肢の筋力とバランス保持能力は並ではない。

「先生!ヤツラが大相撲で優勝を独占する理由、身体でわかりましたよ!勝てるわけないです」と彼は苦笑していた。そりゃまぁ、そういう連中のトップクラスが大相撲にスカウトされるんだから、ちょっと地元で柔道や相撲が強い程度の日本人では、歯が立たないよなぁ。

でも、こう言っては何なのだが・・・今の現象だけ「見」て判断下すのが普通の人。一応、武道でお金を頂いている私が同じように嘆息していたら、これはハッキリ言って単なる無能者だ。勝てないという現象の、その裏にあるものを「観」なければ、プロとは言えない。どんな分野でもプロは「観の目」がなければ務まらない。

大相撲における彼我の差が何に由来するのかといえば、これはもう明白。すでに昨日書いた通り、相撲入門以前の人間力の差だ。

年端もいかない頃から遊びや家業の手伝いで心身を練り上げたモンゴル人と、スマホだ、ゲームだ、個室だと散々甘やかされて育った日本の少年。どちらの人間力に軍配が上がるか、言うまでもないやね。

だがしかし。人間力の形成に関して少年だけを責めるのは不公平だし、解決にならない。何となれば「人間は創られて=教育されて初めて人間らしく育つ」からであり、幼少期は言ってみれば単なる「素材」の状態に過ぎない。その素材たる「ヒト」を「人間」に創るのが、教育や環境であり、そこに大きく関わるのが親である。そもそも少年たちの前に「身近な将来像」として立っている親の「在り方」が、日本とモンゴルでは違う、ということだろうな。
周囲を見渡せば、だらしなく太って駅の階段程度で息切れしている「若年寄」がなんと多い事か。自分の身体もコントロールできない輩が、子供にエラそうな事言っても虚しいだけだ、と言えば言い過ぎだろうか(太るなとは言わないが、どうせなら歌って踊れる高性能なデブを目指した方がイイね♡)。

大人の在り方が問われるのは体型のみならず。その精神においてもまた然り。下請けなど弱い立場の人間をいじめたり、あるいはその逆で、言うべき事を言うべき時に言えずにいじめられ、その鬱憤を安酒で晴らす。そうした行動は隠しているつもりでも、子供たちには伝わる。すなわち、そうした精神が子供たちに少しずつ浸透する、ということ。

時々「日本人横綱いない大相撲なんてさぁ」なんて言っているおっさんがいるけれど(私もその一人w)、上述のような「安酒オヤジ」がそれ言っちゃダメでしょ、っつうことですね。カッコいい親父が増えなきゃ、未来の横綱候補なんて出て来ません!
あくまで個人攻撃ではないですよ。一般論として、事実は事実として言っています。それぞれに言いたい事もおありでしょうが、そういうこと気にしていてもしゃあないからね。

余談ですが、私が目指す理想の親父に近いのは・・・『オーバー・ザ・トップ』でシルベスター・スタローンが演じたリンカーン・ホークですな。強くて・暖かくて・カッコいい、理屈抜きに素敵なオヤジだなぁ。
(つづく・・・かも)




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