我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

稽古場横綱と「無知の知」

稽古場横綱という言葉がある。稽古では圧倒的な強さを示すのだが、本番に弱いというか、力を出し切れない、そんな存在を指して呼ぶ相撲の業界用語。相撲以外でも結構使われていますね。

解説者やファンは「メンタル面の問題」を指摘するけれど、イメトレとかメントレとかをやって単にメンタルの面からだけ強化(?)することをやっても駄目だとワシャ思う。

こういう人はそもそも稽古の意義が分かっていないのではないか?こういうバカな奴ほどね「俺は常にガチ(=本気)だから」などとほざいて、その場での勝ち負けだけにこだわるわけです。

表面上の勝ちにこだわるから、正々堂々と稽古しない。変則的な組み方をしたり、防御に固執してみたり、格下相手にフェイントを多用したり、相手に怪我をさせかねない攻め方をしたり・・・そういうことをやる。

負けてはいけない本番において後れを取らないためには、稽古の場で表面的な「勝ち」にこだわるのはむしろマイナスでしょ。本番で出来ないことをも試して、自分の地力を上げること・死角を潰すことに注力するべきなんだけれどね。

例えば格下の人と稽古する際には、相手の最も力が出る態勢・立ち位置で受けて自分の死角を検証する。格上の人と稽古する際には、負けて元々なのだから正々堂々と真っ向勝負を挑む。

そこで自分の弱さを知ることが、強さへの第一歩なんですけどね。学問の世界で言う無知の知」(by ソクラテスってやつですか。

自分有利な態勢での稽古しかしていないと、本番で思わぬ攻撃や「窮鼠猫をかむ」的な反撃を受けたときに、呼吸がとまり身体が固まる。人は意識していない事態に直面すると、誰でも大なり小なり、心身が居付くものです。

居付いたところからどうリカバリーするか。危機的状況をどのように脱するのか。単に腕力の強さだけを誇示するのではなく、心身を実践を通して生き抜くための叡智を確立する稽古をして行きたいと、考える次第です。



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