我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

男のロマン

栃木県小山市で沖縄正統古伝空手を指導されてきた高橋英充館長(空手道範士九段)がご逝去されました。

高橋館長は、娘の小学校時代の空手の先生です。家内も短い期間ではありましたが、ご指導いただきました。

私自身は稽古を頂戴しておりませんが、武道指導者としての心構えを折にふれご教示いただきました。


館長は、競技試合も試割りもない一見地味な空手を教えて武道専業のプロとして立派な道場を建てられました。

一般論で言えば、この国で武道の専門家として立てるのは、資産家の子弟かもしくは警察の特練あるいは教員を除けばごく一部でしょう。

しかし、高橋先生はコネも知り合いもない小山市で、大組織の傘下にも入らずに地味な古伝空手を指導して専業武道家として生きた。

これは本当に凄いことです。

厳しくも暖かい指導の賜物でしょうか、道場生には奇抜な髪型や斜に構えた態度をとる者がおらず、非常に清清しい凛とした空気が道場を支配していました。

少年時代にこういう先生に教えを受ければ、立派な人間になれるだろう。


私が支部を開く前に、道場で一代記を聞かせていただけたことは財産になっている。


高橋先生の言葉がいまでも記憶に新しい。

太気拳の道場?ぜひやりなさい。武道で自分の城を持つというのはネ、男のロマンだよ


高橋英充館長のご冥福を心よりお祈り申し上げます。