我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

前座と真打

3月30日はプロボクサー嶋田雄大さんの試合に行ってくる予定です。

ボクシングに限らずプロ格闘技の興業は、前座・中堅・セミファイナル、そしてメインイベントと、だんだん盛り上がって行く感じがたまらない。

技術的には未熟なグリーンボーイが一生懸命ぶつかり合う姿も、私は大好きだ。ボーヤはボーヤの、中堅は中堅の、エースはエースの役割ってのがあってさ、皆がsれぞれの持分で頑張れば良いんだよ。エースしか試合に出られない、っていうと減点法のどこか冷たいイベントになっちゃうよな。

会社だって、社長や執行役員だけじゃ廻っていかないだろ?

4回戦ボーイは入場時にテーマソングなんかかけずに素朴な格好で出て来て、一生懸命ド突き合えば良いんだよ。ま、4回戦は入場テーマなんかかけられないんだけれどな。

で、6回戦あたりになると人前に立てる感じになって来て、8回戦以上はもうプロっていう雰囲気がムンムン出ているわけ。でもってやっぱり最後は、華があるランカーとかチャンピオンクラスが出て来てビシッと締めると。

新人はちょっとくらい不出来でも一生懸命やればOK。場を温めておくのが前座の役割なんだから。ボーヤの不出来なんか、メインを張る連中がバーンと吹き飛ばせばいいんだよ。

真打登場!ってやつだな。それでこそ、一万円のチケットの価値があるっていうもんだよな。

親分と子分ってのは、地球七回り半ほども違うもんだぜ、と言ったのは侠客の息子で詩人の百瀬博教さんだけれど、序の口と大関横綱、4回戦と世界王者も同じだぁね。

親分は親分の、横綱横綱の、チャンピオンはチャンピオンの、苦悩も重圧も責任もある。上を目指すやつは、そういうの全て背負いこんでリングに上がるから輝くんだよな。

どんなに上に立っても努力を怠ったら、台頭する若手に抜かれてしまう。だから本当にすごいヤツは「実るほど、頭を垂れるなんとやら」で、気が上がって浮ついた行動なんか取らない。

・・・武道家だって、そうだろ?

初心者は多少間違っても良いから、気持ちを込めて丁寧に一生懸命にやればそれでいいの。

そして黒帯、まして高段者になったら、いつでも「真打登場!」っつう場に立てる心技体を備えていないと恥ずかしいぜ。もっとも、これは自戒を込めて言うんだけれどね。。。