我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

駅伝

会社の上司が「駅伝を見ていて歯がゆく思った」と大層憤慨して話しかけてきた。

早稲田の走者がハイペースで飛ばしたところ、他大学は追いかけようとしなかったのが気に入らないのだとか。

なだめてみたが、この人、結構マジ。

あのなー。言いたくないけれど、運動をまじめにやったことが無い人はこれだから困るんだよ。

箱根の走者って、そもそもレベルがまったく違う化け物ですよ。

全員、勝負根性の塊だよ。だけど、自分の意地だけで走るのと団体戦の駅伝では、違うんだってーの。

たまたま自分の区間超弩級が居たからって、張り合ってペース崩してチームに迷惑かけられないだろ。

で、ヤツらがどれだけ凄いかっていう話。

市民ランナーでフルマラソンを3時間以内で走る人間は、サブスリーと呼ばれる一種の“天上人”です。ちなみにフルマラソンを走る人たちの上位5%がサブスリーなんだとか。

平均時速14キロ超でしょ?これってかなり凄いですよ。

32歳のとき、多摩川の川べりを時速15キロで5.3キロ走ったんだけど、俺、走り終わってしばらく動けなかったもん。

ほぼ、全力疾走。目の前のランナーは全部ごぼう抜き。

なんでこんなことしたのかというと、タイソンの現役時代のランは短めで5キロを20分で走るハイペースだと聞いて、チャレンジしたわけ。

三十路の俺、出来たのは出来たけれど、もう二度とやらない。命の危険を感じました。は〜い、僕ちゃんヘタレで〜す(笑)。

ほぼその速度でフルマラソンって、サブスリーランナーっていうだけで天上人以外の何者でもないだろ。

でもさ、箱根のランナーは、半分の距離とは言え、平均時速20キロ超だぜ?

ちなみに俺の実弟は箱根常連校の陸上部で、駅伝の控えに入っていた。

ついに箱根でたすきを繋ぐ機会はなかったが、レギュラーと同レベルの練習をこなし、当日まで臨戦態勢で同行した。

控えと正選手の差は紙一重だ。

弟でさえ、フルマラソンは2時間40分くらいで走っていたはず。まあ、こいつも化け物ですね。

私は長距離走はダメだ。時速15キロで5キロってのも10年前の話だしね。


弟に聞いてみたことがある。ぶっちゃけ、正選手が当日不調になってくれねぇか、な〜んて考えたことないかい??そしたらお前も走れたのにね。

我ながら意地の悪い質問だ。

「ないよ。チームの優勝こそが、俺たちの夢だったからな」

人間離れした練習量と闘争心、そしてチームワークがあの感動を呼ぶんだろうね・・・。