我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

出世を急がず・・・

近所の駸々堂書店さんが古本の扱いを開始されました。何某かの手数料を取って委託販売の形式で取り扱うとのこと。古本コーナーを見てみると、なかなか充実した品揃えで、良い本がありました。

で、さっそく六百円也を支払って一冊購入。あるお坊さんの回想録です。命がけの修行をされた方であるだけに、随所に深イイ言葉がちりばめられていました。

それらの中から二つを紹介させていただきます。

「人間は早くに出世することを考えてはいけない。若い時にはなるべく人の下で働き、人を助け、ひとのために働かなくてはならない。四十歳以前に人の長上に立ってはいけない。四十歳以前に出世すると、六十、七十になって凋落してしまう。(中略)人間は四十より五十、五十より六十と、齢を取るに従って人に慕われ、人の役に立つ人間になり、寧ろ死んで後に人に惜しまれ、人を教えて行くような人間にならなければいけない。それがために出世を急がず、徳と、智慧と、力を養っておくことである

「時世には流れと、勢いというものがある。これに逆らってみたところで、どうにもならん。人が東に走る時には、ともに東に走り、西に向かう時には、ともに西に向かわねばならんが、ドロボウと巡査のようなもので、同じ方向に走っていても、心掛けはそれぞれ違っていなければならん

偉いお坊さんのお言葉ですので、私の解説なんぞは不要ですナ。立派な徳と智慧と力を備えた武術家たるべく、天の時、地の利、人の和を大切に、地道に歩んで行きたいものです。