我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

武術と格闘技 - その3

大雑把にぶった切ってしまえば、武術において組手(試合、乱取り、地稽古など)は手段であり、格闘技においては目的である、ということが出来るでしょう。

武術の組手は一つの検証の場ですから、信頼できる相手と稽古するという前提のもとに、打つこと・打たれることに過敏になる必要はない考えます。

もちろんリスクはあることですから、体調不良の時にはやるべきでは無いし、興味本位の組手も禁物です。私の預かっている稽古場でも、これは徹底しています。

さて、「その1」で述べたように合同稽古会では私自身も連続組手を行いました。当日のメンツの関係で「8人組手」となり、不覚にも8人目で先月やった肉離れが再発。中断の止む無きに至りました。

5〜6人目あたりで違和感を感じていましたが、そこで中断しなかったのが原因でしょう。

また、映像をよく見てみると途中から攻めの型を作ることなく強引に打ちに行っているシーンがありました。特に山形支部長や怪力空手マンのMT氏のような体格の良い実力者と当たった時に、その傾向が顕著でした。

以前読んだ本で、将棋の升田九段が「心身の調子が良くないと、我慢が利かずに無理やり行ってしまうことがある」という意味のことを言われていましたが、まさにその状態。

コンディションそのものは特に不調ではなく、むしろ調子良いくらいに感じていました。でも、違和感を感じた時点で中止できなかったあたりに、心技体の不一致があったのでしょう。

打った・打たれたという現象面は別にして、自分の今出来ることを表現・確認できたという意味では、大きな勉強が出来ました。怪我の再発という代償は払いましたが、身を以て心技体の重要性を再確認できたことは財産です。

もうすぐ合同稽古から一か月が経とうとしています。支部の稽古で数回、小さなミスをしての症状の悪化がありましたが、怪我もだいぶ癒えて来ました。組手も推手も十分に出来るようになるまで、あと少しの処まで来ているようです。

怪我がきっかけで、身体調整や鍛錬について考え直す時間も持てました。武術とこれらの分野は切り離せないものです。今までも金と時間を掛けて勉強をしてきましたが、今後はもっと積極的に取り組み、自分自身は勿論、小山支部の稽古に来て下さる方達の生涯武術探求に資するフィードバックが出来るよう取り組むつもりです。