愚直に
先日、柴又の稽古を終えて帰ろうとした際に、至誠塾の武蔵ことO君が揺(ゆり)を繰返し練っていました。頭から足先までピシッと統一体になった、素晴らしい動きでした。
彼は6年ほど前に一切の武道経験なしで太気拳を始めました。稽古のときは一切妥協せず、同じ動作を何度も何度も愚直に繰り返していました。
推手などでも、技に走ったり動線をずらせたりすることなく、崩されようが飛ばされようが「人(じん)」を崩さず真っ直ぐ体軸をぶつけてくる気持ちの良い稽古ぶりでした。
年月を重ね、彼も後輩の方が圧倒的に多くなりましたが、稽古振りは変わらず。変わったのはその実力です。強靭な足腰と堅固な構え、そして受けからすかさず攻めに転じるバランスの良さ。いつの間にか実力者の仲間入りをしていました。
実力者の仲間入りをしても、奢るところ無く淡々と稽古を重ね、その合間で後輩の面倒を見たりイベントの裏方を務めるなど、非の打ち所無い(褒めすぎ?)存在です。
人間、色々な煩悩があるから心がブレたりしてやるべきことから目線がずれることもありますが、彼を見ていると、愚直にやるべきことに取組むというのが、結局一番の近道なのだと感じます。
私もこの道を歩めることに感謝しながら、愚直に歩を進めてゆきたいと思います。