我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

三年先の稽古

先日の水曜稽古会は前回の日曜稽古会と同じ流れで進めた。半禅の解説、推手、推手で手が合った姿勢からの推し込み、そして前捌きから組み際の攻防と進めた。

最後の組み際の攻防は、鍔迫り合いから有利な体勢を取るまでの稽古。あくまで、主題は近間での体勢確保の練習であり、競技ではない。

組み合いになってしまわないことが大事。攻防練習の際に気を付けなければいけないのは、ルールの中で勝ちに行く競技になってしまわないということ。

課題として取り上げている以上は、テーマの掘り下げが目的であり、見た目の勝負は手段&過程でしかない。組手も同じで、「打ち合い」に慣れてしまうと落とし穴にはまる。打ちや蹴りの交換が目的ではなく、それは制圧するため・制圧されないための“手段”なのだから。

稽古としての組手は、内容があって勝てるのが一番。で、二番目は内容が良いけれど勝てない(or負ける)という組手。一見勝っているようだけど内容が無い、というのは、稽古としては下の下。

もっとも、勝負論からすれば逆で内容はどうであれ「負けないこと」が大前提なのだが、勝負論一辺倒では深い内容の稽古は出来ない。長い目で見たならば、目先の価値にこだわる事は強さに繋がらないということ。

大相撲には「三年先の稽古」という言葉があるが、真に味わうべき言葉だと思う