我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

太氣拳を立体的に捉える〜その3、華佗五禽戯 - 2

日光の合宿では、五禽戯の基本となる【熊戯】を学びました。

五禽戯には、熊、鶴、鹿、虎、猿の五種の動物が含まれ、それぞれに要求される【神態】が異なります。個人的には今回練った熊と、4つ目の虎が好みですが、それぞれに深い意味合いがあり、補完しあっているということになります。
なお、今回の投稿は「太氣拳を立体的に捉えるための詩論」という目的で寄稿しますので、個々の具体的な動きに踏み込むことはしません。

この【熊戯】の要領としては、「渾憨沈穏、忌軽飄」の七文字で表現されます。
「渾憨」とは飾り気がなく大らかな勢いに満ちた姿、それが「沈穏」、穏やかに安定した沈む力となって全身に広がっていく。そして浮ついた軽薄さはみじんもない。そのような熊の「神態」を表現するわけです。
ただし、同時に「渾憨沈穏重中軽」という口訣もあり、沈穏のなかに軽く霊活(なめらかに自在に動く)な勢いが内包されている面も表現されねばなりません。
佐藤聖二先生も、『太気拳意拳研究ノート』のなかで、沈実と虚霊について語られておりますが、その記述を読んで大いに頷けるものを感じました(佐藤先生は私にとって師系上は「叔父貴」にあたります。お会いしたことはありますが、直接の師ではありません)。

私たちは太氣拳宗師・澤井健一先生にも、そしてその師匠たる王薌斎先生にもお会いすることはできません(王薌斎先生に至っては、お会いできた日本人はすでに鬼籍に入られております)。
直伝、ということはその先生のありのままを皮膚呼吸で感じ取れることなので、できるだけその機会に触れることが望ましい。私も独立前には、長期にわたり師より直伝で学ばせていただき、師を経由して澤井先生の心技体や人となりに思いを馳せました。
しかし誤解を恐れずに言えば、私の師匠とて澤井宗師のすべてを感じ取り学び取ったわけではない、と思います。同じ伝でいけば、私も師匠のすべてを学び、感じ取れたわけではない。そんなことは、どこの誰にも不可能なことだと思います。
澤井先生直伝ではない私たちがどのようにしてその本質に迫り、継承していけるか。それは太氣拳における「武の鉱脈」をいかに立体的に捉え、身に着け、その【本質】をその時代にあった伝え方をしていくか。私はそこに「がっぷり四つ」で取り組み、その成果をお伝えしていこうと思います(つづく)



太氣拳尚武館は、太氣至誠拳法(通称・太氣拳)を学ぶ武術・武道の道場です。武道初心者はもちろんのこと、武術・武道・格闘技で伸び悩んでおられる中級者以上の方も歓迎いたします。また、護身・健身(健康づくり)目的の方の参加もお待ちしております。稽古会場:小山市栃木市宇都宮市上三川町。神戸市(支部詳細は:http://taikiken-tochigi.jp/practice/
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太氣拳とは>
 中国拳法の流れを汲む武術。創始者澤井健一が立禅と命名した「ただ立つだけ」の独特の鍛練法を核とする。

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