我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

太氣拳を立体的に捉える〜その2、華佗五禽戯 -

*太氣拳を立体的に捉える〜その2、華佗五禽戯 - 1

いきなり敵を作りかねないこと言いますが、私はいわゆる『象形拳』というジャンルが苦手です。いや、はっきり言うと大嫌いです。生理的に、という言葉を使いたくなるくらいに受け付けません。
うちの拳法はねぇ、猿の素早い動きからヒントを得て出来たんですよぉ!とかドヤ顔で言われると、「その素早い動きっていうやつを体験してみたいなぁ、ボク。組手でね♡」といいたくなってしまう。何故、人間が猿や鳥の動きマネをしなきゃならないというのか。猿はあの筋力や敏捷性を持つからこそあのような動きが出来る。そもそもが骨格構造だって異なるでしょう。

その姿勢は未来永劫変わらないでしょう。ではなぜ生物を模倣する形式を採る「五禽戯」をわざわざ「太氣拳」の合宿で行うのか。
焦国瑞伝の五禽戯を星野先生から学んだ際に利いたお話が印象に残っているからです。
曰く五禽戯は単に動物の真似をするのではない。動物の動きの奥にある“神態”を、人間の持つ“霊性”を通して感じ取り、そこから学ぶ。もっというと、知性の高い動物が人間の真似をすることがありますが、その姿を人間の霊性というフィルタを通して観察して神態から学ぶわけです」

焦国瑞先生の言葉がどこから由来しているかは不明ですが、意拳創始者・王薌斎先生もまったく同じことをおっしゃっています。
曰く「ただ神意の足るを求め、形骸の似るを求めず(只求神意足、不求形骸似)」
また王老師の高弟・韓星橋先生は著書『意拳学』の中で、拳の学びにおいて生物を模倣する形式を採ることの意味について、述べておられます。
〜『意拳学』からの引用〜
各種の動物が自然界で生存闘争する運動過程を観察することを通して、更なる精神状況や活動方式を体得し、それを拳術中に運用する。
(略)
大切なのは各種動物の神意を学習することである。
(略)
猿に学べば猿の活発敏捷の神意、虎に学べば虎の獰猛無畏の神意を学ばなければならない。
(略)
もし猿に学ぶと言って、「腰を曲げて額に手をかざし、虎を学ぶと言って、牙をむき出し爪をふるい大声で叫ぶのは、この形骸を求めるのみであって拳術には役に立たない
〜以上、引用終わり〜

写真は五禽戯〜猿を演じる焦国瑞先生。

こちらはスーツ姿の焦国瑞先生。

とても同一人物とは思えません。これが猿の「神態」を体現するということなのでしょう。
(つづく)


太氣拳尚武館は、太氣至誠拳法(通称・太氣拳)を学ぶ武術・武道の道場です。武道初心者はもちろんのこと、武術・武道・格闘技で伸び悩んでおられる中級者以上の方も歓迎いたします。また、護身・健身(健康づくり)目的の方の参加もお待ちしております。稽古会場:小山市栃木市宇都宮市上三川町。神戸市(支部詳細は:http://taikiken-tochigi.jp/practice/
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 中国拳法の流れを汲む武術。創始者澤井健一が立禅と命名した「ただ立つだけ」の独特の鍛練法を核とする。

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