我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

労神(ろうしん)からのリカバリー

労神とは長期にわたって精神活動が疲れ果てている状態、すなわち頭や心の使いすぎのことをいいます。このような神の過労は気を傷つけ、それはまた精をも傷つけます。(焦国瑞 講授、星野稔 監修 『気功太極十五勢』)

 

二年数か月前に、人生においてワーストに近い出来事があり、そこからのリカバリーに努めてきた。努めてきた、というか足掻き続けてきたとでもいうべきか。

思えば、そこに至るまでの数年間、上記の「労神」の状態にあったわけだが、以前、同様の状態からリカバリーした経験もあり、何とかなるだろうという気持ちがあった。しかし甘かった。

もっともそのような判断がきちんとできない状態に、自分は陥っていたのだと思う。星野先生に気功養生学を学んだ身でありながら、その不明を恥じねばならない。

末席ながら、自分は武道家であり練功家であると思っているので、自己の問題はどこまでも自らが根差す「武」および「養生」の修練を通じて、解決していかねばならないと考えている。

これはなにも実技の稽古をやれば人生の問題が解決する、と言いたいわけではない。病の時は医師の助力をあおぐように、それぞれのテーマに応じて必要な専門家のサポートを仰ぐことは大切なことだ。サポートを受け実践する在り方にこそ、平素の修練が顕れるようでありたいと、そういうことだ。

結果として星野先生に学んだ養生観、そしてそこから描き出される心身の捉え方。これらを土台として武の実技を修練しつつ、そこで得た心身の変化を観察する。それまでもやって来たことであったが、キチンと観えていなかったのだろう。

取り組みなおしが始まって一年半後、昨年の5月28日に先生は天に召されたのだが、それ以降は、先生の講義ノートを見返し、気になる点を掘り下げる、という作業となった。

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リカバリーに向けて歩んでいく中で、数年間の「労神」の期間における心身の不調はかなり改善され、武的身体能力においても、一定の進歩がみられた。破壊と再生といえば少しカッコいいのだが、今回の「破壊」は心身共に相当な傷跡が残り、またそれにより心ならずも迷惑をかけた人たちがいる。

トラブルや疾病、困難からのパーフェクトディフェンスはあり得ない。転ばぬ先の杖で先手を打つとともに、リスクをはねのける心身の力が、要る。ただ消極的になって体に悪いことを避けるというのが養生ではない。

労神により破壊されたものが元通りになるか否か、という過去を振り返る思考に囚われる自分がまだまだいる。それはそれで否定せず、そのうえでこの経験を活かして地に足がついた「武」と「養生」を伝えたいと思う。 

 

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