伝える者として
太氣拳の師匠である高木塾長が修行時代に影響を受けたという『南郷継正 武道論』シリーズを味読中。
南郷先生の空手道の実技に関しては言及する立場にありませんが、「対象の構造に分け入って論理を抽出する」というアプローチについては、私自身かつて感銘を受けたものです。
技芸を学ぶ者は須く感性・勘を磨くことがまず第一に肝要です。そして並行して「対象の構造に分け入る」という行為を行えば、伝える立場に立ったときに「名伯楽」「名指導者」たり得る。
「野生のカン」とか言えばかっこいいのですが、生物界において最弱の人間が生き残ってこられたのは、「理性」「言語」「共同体感覚」という武器を発達させたことに拠る。残念ながら、人間の野生・本能は飼い猫にも及ばない。
伝える・指導する・発信する立場にある者は、感性レベルのみにとどまることなく、「なぜ自分が出来るのか・強いのか」という事象の裡にある「理」を考察して、一般化することも大事です。そうすれば、あとに続く人たちが、自身の到達点より遠くへ行けるための「道しるべ」を残せますからね。
私自身、実技の修練を主体に生きて来ましたので、こうした作業が苦手でした。今も正直言うと「黙って三年立て（立禅しろ）。話しはそれからだ！」という思いが根強く心にあります。
ですが、人様の時間とお金（月謝、という意味だけではありません）とエネルギーをいただいて指導する以上、何ゆえ「黙って三年立つ」のか、そのための意義を伝えることが出来なきゃいかんな、と考えとります。
太気拳至誠塾栃木支部は、太気至誠拳法（太気拳）を学ぶ武術・武道の道場です。武道初心者はもちろんのこと、武術・武道・格闘技で伸び悩んでおられる中級者以上の方も歓迎いたします。また、護身・健身（健康づくり）目的の方の参加もお待ちしております。稽古会場：小山市・栃木市・宇都宮市・上三川町。詳細は：http://taikiken-tochigi.jp/practice/
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＜太気拳とは＞
中国拳法の流れを汲む武術。創始者・澤井健一が立禅と命名した「ただ立つだけ」の独特の鍛練法を核とする。
